「うちの子どもは姿勢が悪い」「自分は気が付くと猫背になってしまう」と自分や家族の姿勢の悪さを気にしている人のための情報です。姿勢が悪くなる原因は、筋力不足、疲労やストレスなど、様々あるのですが、実はこれらの原因に共通して関係していることがあります。
姿勢が悪いと起こること
姿勢が悪くて良いことはあまりありません。
▼太りやすくなる
猫背のように体が前傾して丸くなると内臓が圧迫されて負担が増し、消化や吸収の働きが弱くなります。また、血管が圧迫されて血行不良が起こり、体温の低下や代謝の低下が起こります。消化不良や血行不良、代謝の低下は、体重の増加、つまり姿勢が悪いと『太りやすい体質』になります。
▼集中力の低下
また、姿勢が悪いと、肺が圧迫されて呼吸が浅くなり、体内に取り込まれる酸素の量が減ってしまいます。すると細胞に酸素が行き渡らず疲れやすくなります。また、脳への酸素供給が少なくなると、集中力や判断力の低下を招き、学力や業績の低下に繋がることも考えられます。
その他にも、自律神経系のバランスが乱れやすくなる、PMSの悪化、月経障害、関節痛、ヒザ痛、足首痛、肩凝り、肩痛、腰痛、目の疲れ、頭痛、聴覚障害など、姿勢が悪いだけで様々な悪影響が生じます。
姿勢が悪くなる原因
そもそも姿勢が悪くなってしまう原因はなんでしょうか。考えられる大きな要因は、加齢、筋力不足、セロトニン不足の3つです。
加齢
加齢によって抗重力筋をはじめ、全身の筋肉は衰えていきます。また、加齢による体細胞の減少や身体機能の衰えから、高齢者はセロトニンが不足しやすくなります。こうして、加齢による筋力低下とセロトニンの減少も、姿勢が悪くなるひとつの要因として数えられます。
加齢による体力や筋力の衰えをはじめとする運動機能の全般の低下は運動器症候群、ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)と呼ばれ、寝たきりや要介護のリスクを高め、健康寿命の短縮につながってしまいます。
人は等しく老いていきますが、高齢になっても姿勢を正しく保てるよう、散歩や軽い運動を欠かさなければ、ロコモの発症など、加齢による悪影響を最小限に抑える効果が期待出来ます。
筋力不足
最も多くの人に当てはまるのは、運動不足などによる、『筋力の減少』です。人は抗重力筋という体の前後のバランスを取る働きをする筋肉を使って起立しますが、この抗重力筋の前後のバランスが悪くなると、姿勢が悪くなります。
よく言われるのは、「腹筋と背筋のバランスが悪い(どちらかが弱い)」ということです。筋力不足を補うには、運動をして筋力不足を解消する、座るときに常に意識して背筋を伸ばす、楽な姿勢で座らない、歩くときに背筋を意識して歩く、などの対策が効果的です。
▼抗重力筋とは
抗重力筋とは、地球の重力に対抗して、正しい姿勢を維持するための筋肉で、主に体の前側と後ろ側に分布しています。主な抗重力筋には、お腹(腹直筋)、太もも(大腿四頭筋)背中(脊柱起立筋)、おしり(大臀筋、だいでんきん)、ふくらはぎ(下腿三頭筋)などがあります。
セロトニン不足
姿勢が悪くなる原因の根本にあると考えられるのが、セロトニンの不足です。セロトニンは人体に様々な影響を及ぼす神経伝達物質です。数あるセロトニンの働きの中に、『運動機能の制御』というものがあります。
セロトニンは、自律神経系が司る、呼吸や咀嚼、歩行のような人が無意識に行われる反復性のある運動に関与しており、運動ニューロンを通じて体幹部の姿勢筋や抗重力筋に作用して、体が無意識に正しい姿勢を保つ働きを支えているのです。
抗重力筋とセロトニンの関係を例えると、脳からセロトニンという電力が供給されることで、姿勢筋や抗重力筋という、体を支える装置が作動しているという状態です。
セロトニン(電力)が不足すると、いくら体幹や抗重力筋(装置)がしっかり備わっていても、うまく作動することが出来ず、無意識に正しい姿勢を保つことが困難になってしまい、気が付くとすぐに猫背になってしまうのです。
そして、セロトニンが不足する原因は、私達の生活の中にたくさん潜んでいます。
▼セロトニンが不足する原因
セロトニンが不足する原因となるのは、食生活、ストレス、太陽光不足、運動不足、生活習慣の乱れ、人との交流不足、腸内環境の悪化などが挙げられます。
詳しくは『セロトニンが不足すると』をご覧ください。
セロトニンを増やせば姿勢を良くすることが出来るかも
セロトニンが不足しているせいで姿勢が悪くなっているのであれば、セロトニンを増やせば姿勢を良くすることが出来るかも知れません。
セロトニンを増やすには、そもそも私達の生活自体がセロトニンを不足させる生活になってしまっているわけですから、そうした生活習慣を見直すことです。
セロトニンを増やすキーワードは、
- 早寝早起き
- 太陽光
- リズム運動
- よく噛む
- グルーミング
- トリプトファン
- 腸内環境
- 継続すること
詳しくは『セロトニンを増やす8つの方法』をご覧ください。
まとめ
- 歳を取るとどうしても姿勢が悪くなる
- 姿勢が悪くなると、太りやすく、学力や業績も低下しやすい。
- 若いうちから姿勢が悪くなる原因は、抗重力筋不足や、セロトニンの不足
- セロトニンが不足する原因は生活の中に潜んでいる
- 日常生活を見直せば、セロトニンが増えて、姿勢を良くすることが出来るかも
photo credit: Etiquette lessons from Sofia: the proper sitting posture (license)