朝起きるのがつらい。
二度寝、三度寝してしまう。
気づいたら昼だった。
日中もボーっとして眠くなる。
朝起きるのが苦手な人々はこれまで様々な快眠法や快眠グッズを試し、そして挫折してきたはずです。でも、あなたは自分が朝起きるのがつらい本当の原因を見逃しているかも知れません。

朝起きるのがつらい本当の理由

そもそも、なぜ朝起きるのがつらいのでしょうか?

多くの人が『睡眠時間が短い』、『睡眠の質が悪い』ということに原因があると考え、眠りの質や長さを改善しようとしているのではないでしょうか。

もちろんこれらが原因の場合も考えられますが、朝起きるのがつらいのには、別の原因を見逃している場合もあります。また、その『別の原因』を見逃している限り、どんな快眠グッズを使ったとしても、良く効くと評判の睡眠サプリを飲んだとしても、恐らく朝起きるのがつらいという事実は変わらないでしょう。ご紹介するのが、あまり知られていない朝起きるのがつらい大きな2つの原因です。

原因その1:自律神経系の乱れ

朝がつらい理由は、低血圧、睡眠不足、睡眠の質が悪いなど、色々な理由が考えられますが、現代人に最も当てはまるのは、『自律神経系の乱れ』です。

自律神経系を司るのは、「交感神経系」と「副交感神経系」です。この2つの神経系は言わば「」と「」の関係にあり、どちらから活性すると、もう一方が沈静する仕組みになっています。日中に活性化するのが交感神経系で、夜寝ている時に活性化するのが副交感神経系です。

自律神経系が正常に働いている人の場合、朝起きる時に交感神経が活性化し、副交感神経系が鎮静して自然と目覚めます。

ところが、自律神経系が乱れていて朝起きるのがつらい人の場合、交感神経系と副交感神経系の切り替えがうまく出来ないため、朝起きる時間になっても交感神経系の活性化がうまく行かず、「脳がすぐに覚醒出来ないから起きるのがつらい」のです。

朝起きる時に、交感神経系と副交感神経系の切り替えがスムーズに出来れば自律神経系の乱れが矯正出来て、朝の目覚めも楽になるはずです。

朝起きるのがつらい+めまいや立ちくらみが起こる場合

ご紹介しているように、朝起きるのがつらいのは自律神経系の働きが乱れている可能性があります。この朝起きるのがつらいという症状以外にも、急に起き上がるとめまいや立ちくらみをすることがある、もしくは、ずっと立っていると気分が悪くなったり、ときには意識が遠のくような症状が現れる場合、起立性調節障害という状態になっている可能性があります。

起立性調節障害は起立したときにめまいや立ちくらみなど、何らかの症状が現れるのが特徴で、その原因は、交感神経系の働きが弱まってしまっていて、本来は起立時に血圧を上げて脳へ血液を循環せる交感神経系の機能が、うまく働かないことで、一時的な低血圧状態が起こるためです。

この起立性調節障害は、特に思春期を迎えた子どもたちが発症しやすく、朝起きられない症状が相まって、不登校などの社会的な問題も引き起こすのです。

詳しくは、『起立性調節障害』をご覧ください。

原因その2:セロトニン神経の働きが鈍化している

交感神経系と副交感神経系の切り替えをスムーズに行うのがセロトニン神経で、そこから分泌される神経伝達物質が『セロトニン』です。

セロトニン神経は夜間眠っているときはほとんど働いていません。朝の目覚めが近づくとともにセロトニン神経が働きだして交感神経系の覚醒を促し、血圧や心拍数、体温などが上昇し自然な覚醒に向かうのです。セロトニンには、脳の覚醒以外にも気分の調節など様々な作用があります。

自律神経系が乱れてしまうと、セロトニン神経の働きも鈍化してしまう場合が多いのです。覚醒を促すセロトニンがしっかりと分泌されないと、朝の目覚めがつらいだけでなく、日中ボーッとしたり気分が滅入ったりします。

特に、自律神経系の乱れが状態化してしまうと、セロトニン神経も常に弱りがちになりセロトニンが分泌されにくくなります。すると脳の覚醒力が弱くなるため、朝起きるのがつらくなってしまうのです。

朝の目覚めの悪さが夜の寝付きにも影響して悪循環になっている

  1. 自律神経系の乱れ
  2. セロトニン神経の働きの鈍化

この2つが見逃しがちな朝起きるがつらい本当の原因です。さらに困ったことには、この2つは夜の寝付きの悪さや睡眠の質にも影響を与えています。

セロトニンは、夜間に分泌される強力な催眠作用を持つ『メラトニン』という睡眠ホルモンの前駆体(原料になる物質)です。つまり、セロトニンの働きが弱まると、メラトニンの分泌量が減って、夜になっても中々眠くならずに、寝つきが悪い、睡眠の質も落ちる、終いには不眠症になる、という悪循環が生まれてしまうのです。

また、自律神経系が乱れていることにより、夜になって本来副交感神経系が活性化する時間帯になっても、中々交感神経系が沈静化せず、脳が興奮した状態が続くため、やはり寝付きや睡眠の質が悪くなります。

こうして、朝起きるのがつらい人は、夜の寝つきも悪い人が多いのです。また、そうした人は寝付きを良くするために寝酒をしたり、様々な睡眠サプリを試したりして、更なる睡眠の質の悪化を引き起こしていることがあります。こうなると不眠症待ったなしです。

→参考:失敗しない睡眠サプリの選び方

太陽光が自律神経系切替のスイッチ

朝起きるのがつらいのを改善する第一歩は、ベッドや枕を変えることではありません。それは、『太陽光を浴びること』です。太陽光には、朝が弱い人の乱れがちな交感神経系を刺激する作用があるのです。

特に朝日は交感神経系を刺激することで、以下の3つの作用が期待出来ます。

  1. セロトニンの活性作用
  2. 脳を覚醒させる作用
  3. 体内時計をリセットする作用

朝の交感神経系(覚醒・興奮を司る)と副交感神経系(安静・休息を司る)の切り替えは、太陽光が網膜から脳内の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)に届くことによって行われます。このとき同時にセロトニン神経が働きだすことによって体内時計がリセットされることもわかっています。

この『体内時計のリセット』とは、夜眠るためのタイマーがONになることも同時に意味しており、セロトニンが働き出してから14~16時間後に体内時計の働きによって、メラトニンの分泌が最大量になり眠たくなります。

つまり、朝日を浴びることで、「自律神経の切り替え」が行われ、同時に「セロトニン神経が働き出す」、さらに「夜の睡眠タイマーまで作動していた!」ということです。

朝起きるのがつらいのは、朝日を浴びないことがその根源にあるのです。朝起きるのがつらい人は、朝起きたら日光を浴びましょう。

セロトニン神経を活性化させる効果的な朝日の浴び方

  • 朝起きたらカーテンを開けて日光を部屋に取り込みましょう。
  • 曇った日でも日光には十分な明るさがあるので、曇りでも気にせず浴びて下さい。
  • 朝日を直接見る必要はありません。むしろ光が強すぎるので直接見てはいけません。
  • 期間は3ヶ月くらい継続して下さい。(セロトニン神経の活性化には長期間要します。)
  • 一回の時間は30分くらい浴びるのが効果的だと言われています。

継続が大事です。
毎日続けて朝日を浴びることで、徐々に生活リズムが整いやすくなり、朝の目覚めもつらくなくなって来るはずです。

どうしても朝日を浴びれない人

朝日を浴びることで朝のつらい目覚めから開放される可能性が高い!

ところが、忙しい現代人はゆっくり朝日を浴びることなんて出来ません。起きたら10分で家を出る、そもそも部屋に窓が無い、夜勤だから朝日を浴びれない(参考:夜勤はセロトニンが不足しやすい)、など何らかの理由でどうしても朝日を浴びることが出来ない人には、光目覚まし時計がおすすめです。

詳しくは『光目覚まし時計』をご覧ください。

photo credit: kenn & kitteh (license)