シックハウス(又はシックハウス症候群)は、住宅に由来する健康障害を総称する病名で、その症状や原因は一様ではなく、個々人によって異なる疾患です。シックハウスは主に、住宅内の空気汚染が原因として指摘されており、厚生労働省ではシックハウスの原因となる可能性の高い、住宅内に存在するホルムアルデヒドやVOCなどの特定の化学物質13種類について、その濃度指針を定めています。
シックハウスの原因として使用に規制のある科学物質
国土交通省では、シックハウス対策として、ホルムアルデヒドなどのシックハウスの主原因となる化学物質を建築基準法を改正して禁止・規制しています。
シックハウスの原因物質は様々です
上記の物質以外にも、ダニ・カビ、その他家具や日常品に使用されている化学物質など、様々なものがシックハウスの原因になると言われています。
- 家具・建具・家の建築材の原材料
- 壁・壁材・タイルなど
- ダニやカビ
- ハウスダスト
- 犬やネコなどのペットの毛
- タバコの煙
- ストーブの煙
- 衣類に含まれる化学繊維
- 日常品に含まれる化学物質など
シックハウスの原因は人により異なり、発生原因を特定する事が難しい場合が多いと言われています。
特に問題となっているのは、家の材料に使われる建材にアレルゲンとなる物質が含まれていることにより、シックハウスの症状を引き起こす場合です。
「家を建てて、住み始めたら体調が悪くなった」という話がニュースなどでも取り上げられていますが、せっかく家を建てたのはずが台無しになってしまいます。
このようなことにならないためにも、家を建てたり、リフォームをしたりする前に、徹底的なシックハウス対策が必要であるといえます。
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シックハウス誕生の経緯
古来の木造家屋などでは、現代のようにシックハウスと言う言葉は存在しなかったのではないでしょうか。
日本では、高度経済成長期から、住宅の欧米様式化・高層化・高気密化が進み、それに伴う需要の拡大で、新建材と言われる化学物質などを含有した住宅建材や家具が住宅に使用されるようになりました。
そうした中で1980年代ごろより、シックハウス症候群の症例に該当する症状が報告され始めましたが、この頃は原因の特定がされることはありませんでした。
1990年代に入ると、厚生省によりホルムアルデヒドに関してのガイドライン値が定められ、シックハウスと言う言葉が脚光を浴びるようになりました。
そして、2003年7月に建築基準法の改正(いわゆるシックハウス法の施行)が行われ、住宅建材や一部内装家具などで本格的にシックハウスの原因物質の使用禁止・規制が開始されたのです。
従って、今後家を建てたりリフォームをする場合は、建築基準法の規制に基づき、基本的な庇護を受けられますが、この建築基準法改正の効力が及ぶ以前に立てられた家などでは、シックハウスの原因物質が使用されており、それらが残留している事が現状の大きな課題の一つと言えるでしょう。
また、新築やリフォームをした場合にも、基準値を満たしているからと言って、必ず安全かと言えばそうではなく、今も新たにシックハウスによる健康被害に苦しむ方が生まれているのが現状です。
シックハウスの症状
シックハウスは人によりその症状が異なる事でも知られており、直ちにシックハウスであると診断できない場合が多いとされています。
以下のような症状はシックハウスの代表的な症状であると言われています。
- 目:
- 目の痛み、目がチカチカする、目のかゆみ、涙目、目の充血、目の乾燥など
- 鼻:
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻粘膜の痛み、乾燥感、臭いに敏感になる、鼻閉など
- 喉:
- 喉の痛み、喉粘膜の乾燥感、咳、喘息、喘鳴など
- 耳:
- 耳鳴りや平衡感覚の異常など
- 肌:
- 皮膚炎、肌荒れ、乾燥肌、かゆみ、じんましん、しっしんなど
- 精神・神経:
- 疲れやすい、無気力、疲れが取れない、倦怠感、睡眠障害、めまい、眠気、イライラ、集中力の低下、記憶力の低下、筋肉痛、動悸、息切れ、頭痛、頭がボーっとするなど
新築やリフォーム等により新しい環境に移ったりした後に、このような症状が発生した場合には、シックハウスの可能性が考えられますので、専門家への相談をするなどしてシックハウス対策を行う事をお勧めします。