40歳前後で発生しだす独特の体臭である中年世代の加齢臭。加齢臭のニオイはストレスによって悪化するとされています。ストレスが加齢臭を悪化させてしまう原因について、ご紹介します。
目次
ストレスで加齢臭が悪化してしまう理由
ストレスによって分泌されるストレスホルモン『コルチゾール』は、加齢臭の発生原因である『活性酸素』を増加させてしまいます。また、コルチゾールは血糖値を上昇させる作用を持つため、血糖値の上昇によって体内の抗酸化物質が働きにくい状況が生じます。
他にも、ストレスによって交感神経系が興奮するため、アドレナリンの分泌が増加したり睡眠の質が悪化することも、加齢臭の悪化につながっています。
ストレスでコルチゾールが増加する
脳がストレスを感じると、脳内の視床下部からストレスに対処するための司令が発令されます。ストレスに対処する主役は副腎皮質から分泌されるストレスホルモン、コルチゾールです。
コルチゾールは、脳や筋肉がストレスに対応出来るようにするために、糖やタンパク質、脂質などの栄養素の代謝速度を早め、体を動かすためのエネルギーが血中から速やかに各部へと行き渡るように脈拍や血圧を高めて体の緊張状態を保ちます。
コルチゾールは活性酸素を増加させる
コルチゾールの分泌が増加すると、細胞のエネルギー源である酸素の消費量も激しくなり、その分発生する活性酸素の量も増加します。(※吸気に含まれる酸素のうち、およそ2~3%は活性酸素になるとされる)
活性酸素は脂肪細胞を酸化させ、加齢臭の原因となる過酸化脂質を増やすため、ストレスによって活性酸素が増えると、加齢臭も悪化しやすくなるのです。
コルチゾールは血糖値を上昇させる
ストレスによって分泌されるコルチゾールは、脳や体がストレスに対処するためのエネルギー源である糖質(ブドウ糖)を血中にたくさん放出しようとする性質があるため、コルチゾールが分泌されると血糖値が上昇しやすくなります。
血中に糖質が増えると、その糖質が血中の抗酸化物質であるSODと結合してしまい、SODが担う活性酸素の除去能力が低下してしまいます。
抗酸化作用が低下する
血糖値が上昇した結果、SODの働きが悪くなるため体の抗酸化作用は低下します。それ以外にも、血中の糖質によって、細胞内の活性酸素を取り出す役割をしている、血中の抗酸化物質であるビタミンCが細胞内に進入しにくくなるため、細胞内の活性酸素が除去されずに増えやすくなってしまうことも明らかになっています。
除去されずに残った活性酸素は、加齢臭の原因物質であるノネナールを作り出す皮脂成分であるパルミトレイン酸を酸化させたり、脂質を酸化させて加齢臭の原因となる過酸化脂質を作り出してしまいます。
交感神経系が興奮する
ストレスを受けた脳の視床下部は、副腎からコルチゾールを分泌するよう司令を出す一方で、自律神経系のうち、交感神経系が興奮するように司令を出します。交感神経系が興奮すると、脳内ではノルアドレナリンの分泌が増加し、脳が覚醒してイライラしたり怒りっぽくなります。
同時に、ストレスホルモンの一種であるアドレナリンの分泌も促進され、脈拍や血圧が上昇して、筋肉は収縮して持てる力を最大限出せるように準備されます。
このように交感神経系の興奮によっても、脳や体での酸素消費量が増加するため、各所で発生する活性酸素の量が増加します。
ストレスによって起こる交感神経系の興奮も、加齢臭の悪化の一因となっているのです。
睡眠の質が低下する
ストレスによって交感神経系が興奮すると、夜になっても脳が興奮して中々寝付くことが出来ず、眠っても眠りが浅くて何度も目が覚めてしまうことがあります。こうして睡眠不足が続いたり睡眠の質が低下すると、睡眠ホルモンであるメラトニンや、睡眠中に体の修復を行っている成長ホルモンなどの分泌が悪くなります。
メラトニンは睡眠を促す作用以外にも、強い抗酸化力を持つホルモンでもあり、全身の細胞が活性酸素によって酸化されるのを防いでくれているホルモンでもあります。
また、成長ホルモンは、活性酸素などによって傷つけられた細胞を修復・再生する働きをしています。
睡眠の質が低下すると、睡眠中に分泌される様々なホルモンの働きが悪くなるため、活性酸素が除去されずに残ってしまったり、傷ついた細胞が修復されずにそのまま死んでしまったりと、加齢臭をますます悪化させるばかりか、体の老化がどんどん進行してしまうのです。