オヤジ臭の代表格である加齢臭は中年以降の男女に発生する独特な体臭のことで、加齢によってノネナールという物質が増加することでにおいだします。加齢臭は生活習慣によっても悪化するため、改善するには生活習慣を見直す必要があります。

加齢臭の特徴

加齢臭とは、皮膚に分泌された皮脂成分が酸化分解されて発生する独特なニオイの俗称です。

若いときには加齢臭は発生しにくく中年になってから急にニオイやすくなるのは、加齢により皮脂成分が変化したり、基礎代謝が低下して体脂肪が増加することが原因だと考えられています。基礎代謝が低下すると、その分加齢臭の原因となる脂肪が体に蓄積しやすくなり、脂肪からできる皮脂が酸化してイヤな臭いを生み出してしまうのです。

ニオイの特徴
加齢臭の臭いの特徴は「青臭さと脂臭さ」とよく例えられます。細かくニオイを例えるとろうそくやチーズ、古い雑誌、押し入れの中の臭い、古くなった天ぷら油の臭いなどと形容されることが多いです。

洗うだけでは改善しにくい
加齢臭のニオイの原因になる物質(ノネナール)は、水に溶けやすいため、体を洗えば比較的簡単に洗い流すことができます。しかし、ノネナールを作り出す皮脂は水だけでは落ちないことがあり、体を洗うだけでは対策として不十分な場合があります。また、誤った頭や体の洗い方をしてしまうと、かえって加齢臭が悪化してしまう恐れがあります。

ところで、加齢臭をはじめとする体臭は自分では認識しにくいという性質を持っており、誰しも知らないうちに加齢臭を漂わせて、周りから白い目で見られている可能性があります。日頃から体臭チェックもお忘れなきよう。

詳しくは『自分がクサイかどうか確かめる方法』をご覧ください。

加齢臭のニオイの原因物質

昔からなんとなくおじいちゃんやおばあちゃんの独特のニオイや、中高年独特のニオイという概念は存在していました。この独特のニオイの正体は科学の発展した近年になってようやく解き明かされました。

資生堂リサーチセンターの土師信一郎らによる発表(※1)によると、異なる年齢層毎に体臭の変化と、体表の皮脂の種類の違いなどを調べたところ、若い人にはほとんどなく40歳前後を境に増える物質があることを解明しました。

この加齢で増加する物質は『ノネナール』と名付けられ、加齢とともに増加する物質によって発生する体臭のことを「加齢臭」と呼称するようになりました。
※ノネナールは資生堂の登録商標です

もともと、人の体臭(汗臭やワキガ臭など)は様々な体内物質によって発生することが分かっていましたが、年齢によって濃度が濃くなる物質は少なく、その中でノネナールは加齢によって増加する物質として、加齢臭の原因物質として特定されたのです。

加齢臭は体のどこから臭うか

加齢臭が出る場所は、体の皮脂腺の活動が活発な場所です。

皮脂腺とは、毛穴の奥にある皮脂を分泌する器官のことです。毛穴は全身に分布しているため、事実上全身から加齢臭が生じるのですが、特に毛穴が密集している上半身や胸、背中などの部位に皮脂腺も多く集まっています。

皮脂腺が特に多い場所は、耳の後ろ、おでこ、鼻周り、頭皮、首周り、ワキ、胸や背中などで、上半身の特に顔付近に集中しており、これらの場所から加齢臭が発生しやすいといえます。

イメージとしては、普段汗をかきやすい場所に皮脂腺がたくさんあると思えば良いでしょう。

そのため、加齢臭の対策をするときは汗をかきやすい部位を中心に行うと効果が得られやすいとされています。

※手のひらや足の裏には毛穴がないため、皮脂腺もありません。

加齢臭が出始める年齢

ノネナールが増えることで悪化する加齢臭は、多くの場合40歳前後で臭いが出始めるとされていますが、その人の体質や生活習慣によって発生する時期は人により異なり、また男女の性差でも発生時期は異なります。

男性の場合
男性の加齢臭は、いわゆる中年期と言われる40歳前後で発生する割合が急増するとされています。40歳前後で加齢臭が発生しだす原因は、ノネナール発生の原因となる「ある皮脂成分」の分泌が増えることと、体の老化によって、体内で活性酸素が発生しやすくなるからであるとされています。

また、40歳前後の働き盛りの世代は、忙しいため睡眠不足で、人間関係のストレスが溜まりやすく、食事も不摂生で脂っこいもの中心、お酒やタバコが大好き、肥満や中年太りといった人が多く、こうした生活習慣の乱れが重なることも、加齢臭悪化に大きく関係しているのです。

女性の場合
女性は男性よりも皮脂の分泌量が少ないため、一般的には男性よりも加齢臭は感じられにくいと考えられていますが、女性の場合でも加齢臭は発生します。

詳しくは『女性の加齢臭』をご覧ください。

女性の加齢臭は女性ホルモンが大きく影響します。若いうちは女性ホルモンの分泌が活発なため、男性に比べるとノネナールの発生は増えにくく、男性よりも加齢臭は出にくいとされていますが、生理周期で女性ホルモンの分泌量の変化によって、一時的に体臭が変化することも考えられます。

また、重い生理不順などを抱えている場合、女性ホルモンの分泌も不安定になりやすく、またPMSの症状も重くなりやすいため、ストレスも増えてしまいやすいため、若くても加齢臭のようなニオイが生じやすいことがあります。

女性の加齢臭が特に多くなるのが、閉経後です。閉経後は女性ホルモンの分泌量が急減するため、ノネナールが発生しやすくなります。また、閉経前後の女性に起こりやすい更年期障害によってストレスが溜まりやすくなるため、これも加齢臭を増やす要因となってしまうのです。

詳しくは『40代で女性の加齢臭が悪化する原因』をご覧ください。

若い人も要注意
加齢臭は40歳くらいの中高年特有の問題だと捉えられがちですが、若い頃から不摂生をしていると、20代、30代の若い人でも加齢臭がすることもあるようですから、注意が必要です。

ノネナールを生み出す原因であるパルミトレイン酸は、若い頃から体内に存在します。若いうちにノネナールが発生しないのは、体が十分な抗酸化力を持っていて、パルミトレイン酸を酸化させる活性酸素や過酸化脂質が増加しにくいためです。不摂生をすればするほど、体は錆びやすく、活性酸素が増加しやすい土壌に近づいていくため、若くても条件さえ整えば、ノネナールが発生して加齢臭が臭う場合もあるのです。

歳を取ると加齢臭が出る理由

加齢臭の原因はノネナールという物質です。なぜ加齢によってノネナールが増えるのか、加齢でどのような変化が起こるのかを具体的に紹介します。

加齢で活性酸素が増加
加齢によって私達の体に起こるのが、シワが増えたり髪の毛が抜けたり白くなったりする『老化』です。

老化を別の言葉で置き換えると、体の酸化、つまり錆びです。若いうちは体の新陳代謝の力と酸化に抗う力(抗酸化力)が活発なため、細胞が酸化しても新しい細胞がどんどん分裂して補うことができますが、歳を取ると新陳代謝のちからは衰え、体はどんどん錆びてしまう一方になり、老化が進んでいきます。

老化によって私達の体内で増加していくのが、『活性酸素』です。活性酸素は呼吸により体内に取り込んだ酸素の一部が化学反応を起こして生じる物質で、体を老化させる最大の要因とされます。

過酸化脂質の増加
老化によって増加する活性酸素は、ノネナールの材料の一つとも言える、『過酸化脂質』という脂質の一種を作り出します。過酸化脂質は、体内の中性脂肪やコレステロールなどの脂質が、活性酸素と結びついてできる物質で、人体に有害で、細胞を壊してガン化させたり、動脈硬化の原因になるとも言われています。

一般的に歳を取ると体脂肪率が上昇しやすくなり、体に過酸化脂質を生み出す源である脂肪が溜まりやすくなります。同時に、加齢によって活性酸素が発生しやすくなるため、歳を取るとノネナールの材料が増えてしまうのです。

加齢で9-ヘキサデセン酸が増加
もう一つ加齢で起こるのが、皮脂腺から分泌される皮脂成分の変化です。実は、皮脂の分泌量は加齢によって減少していきます。ところが、ある種の皮脂は加齢によって分泌量が増加することが明らかになりました。

皮脂腺から分泌される皮脂は様々な成分で構成されており、構成する成分は年齢とともに変化します。皮脂成分の変化も肌の老化が進んでしまう一因であると考えられています。

そんな皮脂成分の中で、加齢とともに構成割合を増やすのが不飽和脂肪酸の一種である『9-ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸)』です。9-ヘキサデセン酸は皮膚の表面にできる不飽和脂肪酸の一種ですが、若い人の皮膚にはほとんど存在しませんが、30歳前後から徐々に増えだし、40歳をすぎると増加量が顕著になります。

9-ヘキサデセン酸そのものは無臭ですが、過酸化脂質や皮膚常在菌によって酸化分解される過程でノネナールが発生して加齢臭を放つことが明らかになっています。

つまり、加齢によって起こるのは次のようなことです。

  • 活性酸素の増加
  • 過酸化脂質の増加
  • 9-ヘキサデセン酸の増加

こうした加齢によって起こる体質の変化を経て、ノネナールが増えて加齢臭が発生してしまうのです。

ノネナール増加の方程式
加齢臭の原因であるノネナールが発生する方程式です。テストに出ますのでぜひ覚えましょう。

9-ヘキサデセン酸」x「過酸化脂質(中性脂肪x活性酸素や紫外線)」 = ノネナール

加齢臭を悪化させる要因

肉体の老化に伴い発生する加齢臭は、ある意味、生きている上で体に起こる必然的な変化によって生じるニオイですから、完全に防ぐことはできません。しかし、日々の生活習慣によっては、加齢臭をさらに悪化させてしまう場合があります。加齢臭を抑えるために注意すべき生活習慣をご紹介します。

食事
体内で皮脂を作り出す元になっているのが、コレステロールや中性脂肪です。

揚げ物のように脂っこい食事は、脂肪をたくさん含むため、取りすぎると中性脂肪として体に蓄積しやすく、皮脂の分泌が増えやすくなります。また、食事で摂取した糖質(炭水化物など)も、代謝しきれないと中性脂肪として蓄えられるため、糖質のとりすぎにも注意が必要です。

要するに体脂肪が増えやすい食事によって、加齢臭が悪化しやすいといえます。

参考:『加齢臭を予防するための食事とは

ストレス
ストレスは体内に活性酸素を増加させる大きな要因です。脳がストレスを感じると、『コルチゾール』というストレスホルモンの分泌が増えます。コルチゾールが分泌されてから分解されるまでの過程で活性酸素が増加します。

また、強い抗酸化作用を持つビタミンCは、コルチゾールが分泌される際に大量に消費されるため、ストレスによりコルチゾールの分泌量が増えると、ビタミンCが消費されて体の持つ抗酸化作用が低下し、その分活性酸素が体内に生じやすくなります。

さらに、強いストレスを受けると体の血流が悪化し、体内の酸素の循環が滞ることで酸素が余り、大量の活性酸素を生み出す原因となります。

ストレスによって活性酸素が増加することが、加齢臭を悪化させる原因となります。

詳しくは『ストレスで加齢臭が悪化してしまう理由』をご覧ください。

運動不足
運動が不足すると、筋肉量は低下し、体脂肪は増加しやすくなります。体脂肪が増加する分、皮脂腺から排出される皮脂の量も増えて、加齢臭が悪化しやすくなります。

また、筋肉量が低下すると血流が悪くなりやすいため、血行不良によって活性酸素が発生しやすくなります。

運動不足による脂肪の増加と筋肉量の低下が、皮脂と活性酸素の増加を引き起こして加齢臭を悪化させます。

お酒
お酒を飲むと、肝臓でアルコールが分解されて『アセトアルデヒド』という物質が発生します。アセトアルデヒドが発生する過程で活性酸素も発生するため、大量に飲酒するとその分活性酸素の増加によって加齢臭が悪化する可能性があります。

特に、大量飲酒が習慣化すると加齢臭悪化の傾向は強くなります。

また、お酒を飲むことで口臭が悪化したり、アルコールが分解されて生じるアセトアルデヒドには刺激臭がすることから、こうしたニオイが汗として排出されて加齢臭と重なることで、体臭を一層悪化させる可能性もあります。

参考:『飲酒で加齢臭は悪化する

喫煙
タバコに含まれるニコチンやタールといった物質は、体内で分解するために大量のビタミンCを消費するため、喫煙するとビタミンCが不足して、活性酸素を増加させる原因となります。

また、タバコを吸うと一時的に血流が制限されて血行不良が起こりやすく、これも活性酸素が増加する原因となります。

このように、タバコを吸うとビタミンC不足と血行不良による活性酸素の増加によって、加齢臭が悪化しやすくなります。

参考:『タバコで加齢臭が悪化する理由

さらに詳しくは『加齢臭が悪化する原因』をご覧ください。

加齢臭が悪化する要因を並べてみると、中高年のおじさんが大好きなものばかり・・・。オヤジ臭と言われるのもうなずけます。

加齢臭の予防と対策

人は誰もが歳をとるため、加齢臭がするのはある意味仕方がないことです。しかし、日常生活の中には知らずに続けると加齢臭を一層悪化させてしまうような習慣がたくさんあり、逆にそれを知っていれば加齢臭を低減できるような、予防法や対策方法もたくさんあります。

加齢臭の予防と対策は、食事や生活習慣などにより体質を改善して「体の内側から加齢臭を出にくくする方法」と、衣服や体の洗い方などを工夫して「出てしまった加齢臭を目立ちにくくする方法」があります。

食事で加齢臭を予防

食事による加齢臭の予防は、加齢臭の原因物質であるノネナールを発生しにくくすること、つまりノネナールの発生源となる9-ヘキサデセン酸や活性酸素、過酸化脂質などを作りにくくすることにあります。

脂っこい食べ物を控える
加齢臭を生み出すノネナールの原料となる皮脂を抑えるためには、皮脂の原料になる脂質を抑えることが有効です。

本来脂質は体に必要なものですが、私たちは油を使って多くの料理をつくるため、たいていの場合脂質は不足することはなく、揚げ物や中華料理などを食べると取り過ぎになってしまいます。

ノネナール発生の原因となる活性酸素により発生する「過酸化脂質」は脂質の取り過ぎで増えやすくなるため、脂っこい食べ物を極力控えると加齢臭を低減させる効果が期待できます。

料理油は少なめに
脂質には、肉類などに多く含まれる「飽和脂肪酸」と、植物油などに多く含まれる『不飽和脂肪酸』があります。

飽和脂肪酸は常温では固体になり、分子同士の結びつきが強いため、酸化に強いという特徴があります。逆に不飽和脂肪酸は、常温でもサラサラの液体で、料理油としてもよく使われますが、酸化しやすいという欠点があります。

ノネナールを発生させる9-ヘキサデセン酸は不飽和脂肪酸の一種ですから、料理で使う油は極力少なめに料理をすると不飽和脂肪酸によるノネナールの増加と加齢臭の悪化を予防する効果が期待できます。

▼和食中心を心がける
脂っこい食事や油を多く使った料理は、洋食や中華料理などが多く、日本食は油が少なくヘルシーなものが多いです。近年の日本人は食の欧米化が進み、ファストフードや加工食を好んで食べるようになりましたが、こうした食生活の変化も、体臭の悪化に大きく関係しています。

古き良き和食中心の食生活が、加齢臭を自然と予防することにつながるのです。

抗酸化物質を摂取する
抗酸化物質は、体内で活性酸素の発生を抑制してくれる物質のことです。抗酸化物質が増えれば活性酸素の発生が減るため、加齢臭の予防にもつながります。

抗酸化物質を豊富に含むのは、レモンやいちごのようなビタミンC豊富な食材、アーモンドやうなぎ、かぼちゃなどに多いビタミンE、亜鉛、セレンなどのミネラル、そしてワインやチョコレートに含まれるポリフェノール、緑茶成分であるカテキン、緑黄色野菜に含まれるβカロテンなどです。

料理で摂取しきれない分は、サプリメントなどをうまく活用しましょう。

▼腸内環境を整える
人の腸には善玉菌や悪玉菌からなる無数の腸内細菌が生息しており、加齢とともに悪玉菌優勢の腸内環境になっていきます。実は、腸内に悪玉菌が増えると腸が腐って体臭を悪化させることが分かっており、腸内環境の悪化も加齢臭が悪化する原因の一つとして考えられます。

また、腸内環境が悪化すると、食事で摂取した加齢臭を抑える抗酸化物質(ビタミンやミネラルなど)が十分に腸内で分解されずに、体内に届きにくくなってしまい、加齢臭を悪化させる活性酸素が増加する要因となってしまいます。

腸内環境を整えるには、食物繊維の豊富な野菜や海藻、またヨーグルトや納豆、漬物などの乳酸菌や発酵食品をよく摂ると良いでしょう。

詳しくは『腸内環境を整える方法』をご覧ください。

適度の運動で加齢臭を予防

運動をすると体温が上がり、新陳代謝を活性化させる効果が期待できます。血行も促進されるため、酸素が全身に行き届いて、余計な活性酸素が発生するのを抑えてくれます。

習慣的に運動をすれば筋肉量の増量と体脂肪の減少、体重の減少に効果的で、皮脂腺から分泌される皮脂を減らし、加齢臭を予防する効果が期待できます。

さらに、運動はストレスケアにも効果的ですから、日頃のストレスを運動によって軽減することで、加齢臭の発生を抑える効果も期待できます。

ただし、激しい運動は活性酸素を大量に発生させてしまうため、負担の少ない適度な運動、例えばウオーキングとかサイクリングなどが最適です。普段運動慣れしていない人であれば、近くの公園を15分ほど散歩する程度の軽め運動から始めてみると良いでしょう。

ストレスケアで加齢臭を予防

加齢臭が臭い出す40歳前後ともなると、日常生活の中には様々なストレスが潜んでいますが、こうしたストレスが加齢臭をさらに悪化させる原因でもあります。

ストレスは体内で大量の活性酸素を生み出す原因となるため、活性酸素を抑えて加齢臭予防をするには、ストレスをためすぎないことが非常に重要です。

働き盛りの40歳前後は一人でゆっくりできる時間が取りにくいので、できるだけ意識的に運動やカラオケ、旅行、映画、音楽など、なんでも良いのですが心をリラックスさせてストレスを軽減させる時間を持ちましょう。

また、睡眠は非常に優れたストレス解消法ですから、ストレスを感じたら少しでも睡眠時間を増やしてみるのも良いでしょう。

加齢臭を予防する入浴法

強く洗いすぎないこと
まず、加齢臭を抑えるために絶対にしてはいけないことが一つあります。男性がやってしまいがちな硬いたわしやボディタオルで体をゴシゴシと強く洗うことです。

体の表面には、自然にできた皮脂の膜があり、体と空気の間のクッションとして肌を守っています。この皮脂の膜をゴシゴシと洗い落としすぎてしまうと、皮脂がなくなってしまい、あとから余計に多くの皮脂が分泌されてしまうため、加齢臭がかえって悪化してしまう恐れがあります。

さらに、ゴシゴシていねいに洗えば洗うほど、体表に生息している有益な常在菌(イヤなニオイを減らす)もこすりおとされてしまい、逆に加齢臭を悪化させる悪い菌が増えてしまうことがあります。

石鹸の泡で優しく
臭いが気になるために一生懸命こすりたくなりますが、体についた汚れはシャワーで洗い流すだけで8割は取り除くことができると言われており、残りは手のひらに石鹸を泡立たせて優しく泡で包んで洗う程度で十分なのです。

体を洗う前に湯船に浸かる
ただ、これだけだと垢や毛穴につまった皮脂が残ってしまうことがあるため、体を洗う前にゆっくりと湯船に浸かりましょう。体を洗ってから湯船に浸かる人も多いでしょうが、加齢臭予防にはこのほうが効果的です。

乾燥対策もしっかりと
また、入浴後には肌が乾燥しがちです。肌が乾燥すると皮脂が分泌されて、加齢臭のもととなりますので、乾燥対策をしっかりとしましょう。乾燥対策は、加齢臭が出やすい上半身、特に顔付近を中心に、化粧水や乳液などを塗ります。体質によって合うものが異なりますので、薬局などで相談してみると良いでしょう。

朝シャワー
色々試しても加齢臭がどうしても改善できない人は、朝シャワーをおすすめします。忙しい朝にシャワーをするのは難しいですが、朝通勤する前に一度体臭をリセットできるため、午前中から午後ぐらいまでの加齢臭を抑えるにはかなりの効果を期待できます。

より詳しい加齢臭の対策方法については、『加齢臭の対策』をご覧ください。

油ものが大好きだったり、体をゴシゴシこすって洗ったり、知らないと普段気にせずに続けてしまっている行動が加齢臭を悪化させてしまうの原因です。


★参考文献
※1:J Invest Dermatol. Volume 116, Issue 4, April 2001, Pages 520-524「2-Nonenal newly found in human body odor tends to increase with aging.