セリンは、人体を構成するたんぱく質に含まれる主要な20種のアミノ酸のうちの一つです。セリンそれ自体は肌の角質層に広く分布する成分で、肌の保湿性を保つ働きを持ちます。その他にも、睡眠の質や、ストレス、脳の健康にも関係があると考えられる物質です。
セリンの効果
セリンは元々シルクに含まれる成分から発見された物質で、強い保湿効果を持ち、肌を健康に保つ作用があるため、美肌クリームなどに使用される物質です。また、セリンから生成されるホスファチジルセリンは、脳細胞の健康や脳内の神経伝達物質の生成に関わりを持つことから、ストレス緩和、脳の機能や記憶、やる気や集中力などにも効果が及ぶことが考えられています。
▼睡眠の質改善
セリンは牛乳や大豆などのたんぱく質に含まれる物質で、セリンを摂取するとストレスなどによって生じる不眠などの症状を緩和することで、睡眠の質を改善する効果があることが分かっています。また、セリンと同様に睡眠の質を改善する成分として知られるアミノ酸であるグリシンとは、不足した際に相互に可逆的に変換される関係にあります。
▼肌の保湿効果
セリンはシルクにも含まれる成分で、シルクのすべすべした手触りはセリンによるものです。セリンは肌の角質層に特に多く分布し、肌の水分を保ち、メラニンの形成を抑えることで美肌や美白効果があります。
▼細胞の新陳代謝を促進
セリンは皮膚や毛髪の新陳代謝を促進するアミノ酸である『システイン』に変換されるため、毛髪や肌細胞の新陳代謝に役立ちます。
▼ホスファチジルセリンを生成
セリンは、脳細胞を構成するリン脂質の一種である『ホスファチジルセリン』を生成します。ホスファチジルセリンは脳の血流を改善する効果や、脳細胞の新陳代謝を活性化させる効果、脳の細胞膜を適度に柔らかく保つことで脳への酸素や栄養素の供給を効率的に行う効果、また脳の神経細胞を健康に保ち、脳の細胞死を抑制することから記憶力や集中力を高めたり、認知症やアルツハイマー病を予防する効果があると考えられています。
▼ストレス緩和
セリンから生成されるホスファチジルセリンは、脳内で心身のバランスを保つ働きをするセロトニンの分泌を促進することで、ストレスを改善する効果もあると考えられています。そのことから、セリンにはストレス緩和の効果が期待されます。
▼アセチルコリンの生成
セリンから生成されるホスファチジルセリンはアセチルコリンの分泌を促進する作用があると考えられています。アセチルコリンは、副交感神経系や運動神経を刺激する作用を持ち、体をリラックスさせたり血圧を減少させる作用があるほか、意欲や記憶の形成にも関わる神経伝達物質です。
セリンを多く含む食品
セリンは食物のたんぱく質に含まれるアミノ酸の一種です。乳製品や大豆を原料とする食品などに豊富に含まれています。
- 牛乳
- チーズ
- 大豆
- 小麦
- 豚のゼラチン質
- かつお、鰹節
- 高野豆腐
- きなこ
- しらす干し
- あずき
- スケトウダラ
セリンが不足すると
セリンが不足すると以下のような症状や作用が生じる可能性があります。
- 肌荒れやシワ
- 記憶力や集中力の低下
- 脳機能の低下
- 睡眠の質悪化
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