「今年こそは」と意気込んでダイエットをはじめたものの、気がつくと体重は減るどころか増えていた。私たちはこんな経験をいつも繰り返しています。こうしてダイエットが失敗してしまう原因は、セロトニンの不足かもしれません。
セロトニンとは
セロトニンは脳内で働く神経伝達物質の一つで、心の安定に大きく影響を与える物質です。セロトニンの働きのうち、ストレス耐性の強化、摂食中枢(食欲)のコントロールなどがダイエットに関係します。
セロトニンが不足すると、ストレス耐性が減少してイライラしたり怒りっぽくなり、イライラなどのストレスを食事によって解消しようとして、ついついどか食いしてしまい、体重増加につながります。
また、セロトニンは摂食中枢をコントロールしているため、不足すると摂食中枢の抑制が効かず、過食や拒食といった、極端な食欲に傾きやすくいわゆる『摂食障害』を起こしやすくなります。
ダイエットでセロトニンが不足する原因
実は、ダイエットをするとどうしてもセロトニンが不足しやすくなってしまいます。その原因をご紹介します。
糖質の不足
食事制限によるダイエットで体重を減らそうとすると、どうしても栄養のバランスに偏りが生じやすくなります。特に、ダイエットで不足しやすいのが糖質(炭水化物)です。
糖質は痩せるためにはどうしても減らさなくてはならない栄養素で、巷では糖質制限ダイエットが流行っているように、食事制限をする際は、親の敵の如く炭水化物の摂取を制限しがちです。
実は、この糖質の不足がセロトニン不足へと繋がります。
セロトニンを脳内で合成するには、『トリプトファン』という、タンパク質から合成されるアミノ酸が必要です。アミノ酸自体は、肉や豆、魚などに含まれており、それらを摂取していればダイエットをしていても不足することはありません。
肝心なのは摂取したトリプトファンが、脳内へとしっかり届くかどうかです。
実は、糖質は間接的にトリプトファンが脳内へと届くための手助けをしているため、糖質が不足するとその分トリプトファンが脳内へとたどり着きにくくなり、脳内ではセロトニンが合成されにくくなる、つまりセロトニンが不足する、という事態が起こってしまうのです。
セロトニンが不足したときに起こるイライラなどにより、長い目で見るとダイエットを続けるモチベーションは失われていき、次第に食欲を抑えることが出来なくなってしまうのです。
筋肉量の低下で太りやすい体質に
ダイエットが失敗するもう一つの大きな原因は、摂取カロリーを減らしたことによる、筋肉量の低下です。これは特に女性に起こりやすい失敗ですが、ダイエット中に野菜などばかり食べて、タンパク質を取らないと、タンパク質不足が起こります。
タンパク質の不足は、セロトニンの原料となるアミノ酸の不足につながるだけでなく、筋肉の減少にも繋がります。
タンパク質は筋肉の主要な材料ですから、摂取するタンパク質が足りないと、筋肉はどんどんやせ細っていきます。短期的には筋肉の減少は体重の減少につながるのですが、長い目で見ると悪影響しかありません。
筋肉量が低下すると、体温が低下して、それによって基礎代謝量が低下します。基礎代謝量の低下は太りやすくなることを意味します。また、免疫力も低下し、風邪を引いたり病気になりやすくなります。
まとめ
セロトニンの不足による食欲の増加と、筋肉量の低下による太りやすい体質への変化。これが私達がダイエットを失敗してしまう典型的な流れです。
セロトニンが不足しないように、食事はバランス良く栄養を取りましょう。また、食事制限だけに頼らずに、しっかりと運動や筋トレもすることがダイエット成功への近道です。
セロトニンが満ち足りていれば、ダイエットも成功しやすくなりますので、セロトニンを増やす方法を実践するのも良いでしょう。
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