メラトニンと成長ホルモンは共に睡眠時に分泌量が増加するホルモンです。メラトニンと成長ホルモンは老化に深い関わりのあるホルモンでもあり、これらのホルモンの分泌を促進することは健康寿命の延長やアンチエイジングに関わるといえます。二つのホルモンの共通点などをご紹介します。
睡眠と関係が深い
メラトニンは概日リズムを形成し、概日リズムに沿って一定のリズムで分泌されるホルモンです。成長ホルモンは、概日リズムに関わらず、睡眠や運動、空腹など、一定の条件を満たしたときに分泌されるホルモンです。
二つのホルモンは共に睡眠と深い関わりがあります。
メラトニンは、一日のうち、夜睡眠前になると分泌量が増加する強い催眠作用を持つホルモンで、代表的な睡眠ホルモンです。睡眠中はメラトニンの分泌が続き、睡眠状態が維持されます。
成長ホルモンは一日のうちで睡眠中に最も多く分泌され、なかでも徐波睡眠という深い睡眠のときが分泌量が最高潮に達します。
メラトニンは睡眠の質を改善するのに効果を発揮するホルモンで、成長ホルモンは睡眠の質が良ければ良いほど分泌されやすくなります。また、二つのホルモンは、睡眠中に体細胞のメンテナンスを行うホルモンでもあり、この二つのホルモンは切っても切れない関係にあります。
共に加齢で減少するホルモン
メラトニンと成長ホルモンの分泌量には、ある共通点があります。二つのホルモンは生涯のうち、子供の頃の成長期に最も多く分泌され、成人後は分泌量が減っていき、その後加齢と共に減少していきます。
減少すると
加齢によってメラトニンと成長ホルモンが減少すると、それらのホルモンが担っていた様々な作用が徐々に損なわれていくことにつながります。
- 抗酸化作用が低下→肌老化、血管の老化、認知機能低下
- 細胞の修復や再生する力が減少→肌老化、抜け毛が増える、疲れやすくなる、
- 骨細胞の維持力が低下→骨粗鬆症、骨折
- 筋肉の維持力が低下→筋肉量減少、体重減少、体が小さくなる
- 脂肪の代謝→体脂肪増加、メタボ、生活習慣病
- 免疫力低下→病気のリスク増加、生活習慣病の発症
こうしたメラトニンと成長ホルモンが減少することで徐々に身体機能が損なわれていくことは、まさしく老化現象であり、メラトニンと成長ホルモンは老化や寿命に関係が深いホルモンであるといえるのです。
老化との関係
メラトニンと成長ホルモンは、加齢に伴って起こる身体の老化現象に深い関わりがあるホルモンです。
メラトニンは強い抗酸化作用を持つホルモンで神経細胞を活性酸素などによる酸化から保護する働きがあります。成長ホルモンは体中の細胞の修復や再生を担うホルモンです。メラトニンの抗酸化作用は、成長ホルモンの作用を増強する効果もあります。
神経細胞の保護や、細胞の修復再生を行うこれらのホルモンが減少すると、体細胞は減少していき、肌はハリを失ってシワが増え、骨は弱くなって、筋肉が減って腰が曲がり、脳の認知機能も低下していく、などと言ったかたちで老化が進行していきます。
体の細胞の減少や骨密度の低下、脳の認知機能の低下などは代表的な老化現象です。
減少すると疾患リスクの増加
メラトニンと成長ホルモンの持つ抗酸化作用は心臓細胞の酸化による老化を予防することが分かっており、心疾患のリスクを低下させる働きがあります。加齢によりこれらのホルモンの分泌量が減少することは、心疾患をはじめとした様々な疾患のリスクが増加することを意味します。
骨折しやすくなる
メラトニンと成長ホルモンは骨の再生や形成に作用しており、減少すると骨粗鬆症を起こしやすくなったり、骨が脆くなって骨折を起こしやすくなります。
メラトニンは成長ホルモンの分泌を促進する
メラトニンは直接成長ホルモンの分泌を促進することは無いが、メラトニンは視床下部に作用して睡眠の質を高め、睡眠の質が向上させます。視床下部への刺激は成長ホルモンの分泌を司る脳下垂体に作用し、成長ホルモンの分泌も促進されるため、メラトニンは間接的に成長ホルモンの分泌をサポートしているといえる。
▼メラトニンはソマトスタチンの分泌を抑制
メラトニンは、成長ホルモン分泌抑制ホルモン(ソマトスタチン,SRIF)の分泌を阻害することが明らかになっており、メラトニンが十分に分泌されていると、成長ホルモンの分泌を阻害するホルモンが分泌されにくくなるため、成長ホルモンの分泌が促進されるのです。
▼ストレスで減少する
メラトニンはストレスが増えて、交感神経が興奮すると分泌が阻害されます。成長ホルモンはストレスで分泌が促進されるホルモンですが、ストレスで増えるコルチゾールは成長ホルモンの分泌を阻害するため、結果的にストレスを受けると分泌は抑制されます。また、ストレスでコルチゾールが増えて睡眠の質が悪くなることも、成長ホルモンの分泌の妨げとなります。
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