うつ病になる主な原因は、強いショックやストレスが心身に掛かり、脳内の神経伝達物質の動きが鈍化することにあると言われています。この神経伝達物質がセロトニンノルアドレナリンです。 セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンと共に、『心の三原色』に例えられるほど、脳内で重要な役割を果たす神経物質です。

セロトニンはノルアドレナリンとドーパミンの暴走を制御している

セロトニンとノルアドレナリン、ドーパミンの三つの神経伝達物質は非常に密接な関わりを持っており、またその働きの重要性からしばしば『三大神経伝達物質』と呼ばれます。

セロトニン研究の第一人者である東邦大学名誉教授の有田先生によると、

私は心が三つの重要な神経からつくられていると考えています。その神経を「赤青緑」と言う光の三原色になぞらえて、「心の三原色」と呼んでいます。

意欲を高めるドーパミンも暴走すると際限なく満足できない状態になります。この「欲望の暴走」を制御するのがセロトニンです。

「脳内の危機管理センター」の役割をするノルアドレナリンもストレスに過剰に反応して、不安神経症やパニック障害を引き起こす原因となります。ノルアドレナリンの「暴走」をコントロールするのもまたセロトニンなのです。

光の三原色」は混ざりあうと「白」になります。人の心も三つの神経がバランスよく混ざり合った状態が一番良いと考えています。このバランスのよい状態が「平常心」です。他の神経をコントロールして心を平常心に保つのがセロトニンなのです。

「第三文明」記事中より引用

ある雑誌の記事で上記のように答えられていました。

うつ病は神経伝達物質の働きが鈍化することで引き起こされる

強いストレスを受けたり、不規則な生活などを続けることで、ノルアドレナリンやセロトニン神経の働きが鈍化することがあります。心を平常心に保つ上で、重要な役割を果たしているノルアドレナリンやセロトニンの働きが衰えると、うつ病になってしまうのです。

うつ病の治療薬として使用されるSSRISNRIという抗うつ剤も、脳内でのセロトニンの濃度を高めるなどの作用を期待された薬物です。うつ病の治療にノルアドレナリンやセロトニンに作用する治療薬が使用されていることからも、神経伝達物質の鈍化とうつ病に密接な関係があることが分かります。

うつ病を予防すること = 脳内の神経伝達物質を鍛えること

脳内の神経伝達物質の働きが悪くなることによってうつ病が引き起こされると考えられているため、うつ病の治療はノルアドレナリンやセロトニンの働きを補い改善させる形で行われます。

日ごろからうつ病の原因となるノルアドレナリンやセロトニンの不足・欠乏を防ぎ、鍛えることが出来れば、ストレスへの耐性が強くなり、うつ病になることを予防できるのではないでしょうか。

セロトニン神経を鍛えるには、適度な運動、太陽光に浴びる、規則正しい生活(早寝早起き)を送る、など極当たり前の事が有効であると言われています。

詳しくは『セロトニンを増やす方法

しかし、現代ではこの極当たり前の生活を送ることが難しいのです。従って、近年うつ病になる人の数が急激に増えているのも、こういった極当たり前の生活を送ることが出来なくなったことに大きな原因があると言えるでしょう。

うつ病の原因はセロトニン不足だけではない

うつ病の人の脳内では、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きが鈍化していることが分かっています。また、セロトニンが不足した状態は、抑うつ症状を引き起こすことも事実です。

しかし、ややこしい話ですが、セロトニンの不足は本当の意味でのうつ病の原因ではありません

うつ病を起こす根本的な原因は、あくまでもストレスや睡眠不足、過労など、また、体質や遺伝、性格などの要因です。セロトニン不足がうつ病を起こすのではなく、ストレスがセロトニン不足を招いて、うつ病が起こるのです。

例えば強いストレスを受けると、脳内のセロトニンが徐々に不足していき、その結果として抑うつ症状が起こります。このように、根本に何らかの原因があって、その結果として、確かにセロトニンの不足が起こり、そして抑うつ症状が発生して、しまいにはうつ病の発症という流れでうつ病は起こるのです。

うつ病の治療を考える上で、この順序は非常に重要です。

セロトニン不足がうつ病の原因であるという考え方に囚われてしまうと、セロトニンを増やしてあげればうつ病は治る、という事になってしまいます。

ところが、いくらサプリを飲んだり投薬治療などで脳内のセロトニンを増やしても、本来の原因であるストレスなどが解決されていなければ、恐らくは再びセロトニンが不足して、またうつ病に陥ってしまいます。

セロトニンが不足した状態は、確かにうつ病の症状を起こす構成要素のひとつではありますが、そのさらに上流にセロトニンが不足してしまう原因、つまり本当のうつ病の原因があるということを知っておく必要があります。

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