5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)は、トリプトファンがセロトニンに合成される過程でトリプトファンから変化した代謝産物であり、セロトニンの前駆体でもあります。注目すべきは、5-HTPは血液脳関門を通過するという点です。
トリプトファンとの関係
5-HTPはトリプトファンから作られる代謝物で、親と子のような間柄と言えます。
トリプトファンは不眠やうつ病の改善を期待してサプリメントとして人気がありますが、その多くは血中に流れ出てしまい、脳内への変換率が低く、効果が得られにくいことが課題でした。そこで、トリプトファンの代謝産物であり、セロトニンの前駆体である5-HTPが着目されたということです。
トリプトファンよりも変換効率が良い
脳内で重要な働きをしているセロトニン。足りないならサプリメントか何かで補給すれば良いのでは?と思いがちですが、セロトニンは口から飲んだりしても、脳内に届くことはありません。人の脳は血液脳関門という物理的なバリアーで守られており、セロトニンのような分子の大きな物質は関門をすり抜けることが出来ないのです。
そのため、脳内のセロトニンを増やすには、セロトニンの材料になる物質であり、なおかつ血液脳関門をすり抜けられる物質であるトリプトファンや5-HTPを摂取するのが効果的であると考えられているのです。
さて、セロトニンやメラトニンの原料となる、という点ではトリプトファンも5-HTPも同じですが、サプリメントなどで経口摂取した場合のそれぞれのセロトニンへの変換率は、トリプトファンが1~3%程度とされるのに対し、5-HTPは70%程度とされるため、同量であれば、トリプトファンを摂取するよりも5-HTPを摂取するほうが脳内でセロトニンを増やす効果が高いということで、5-HTPが注目されているようです。
食品にも若干含まれるが・・・
自然成分として5-HTPを含む食品として、バナナ、プラム、パイナップルなどの果物やアボカド、ナス、トマトなどの野菜、その他、クルミのような木の実があります。しかし、食品中の5-HTP含有量は非常に少なく、食品から5-HTPを直接摂取しても効果は薄いと言えます。
国内では販売されていない
5-HTPは日本国内では薬機法上、薬品に分類されるため販売が禁止されています。一方、アメリカなどでは抑うつ気分や不眠の改善、または過剰な食欲の抑制などのサプリメントとして販売されており、現状日本で5-HTPを入手するには、海外からの個人輸入の形で、ネット通販などで購入する方法があります。
安易に摂取しないこと
5-HTPはセロトニンの前駆体として、脳内のセロトニンを増やす効果や、メラトニンを増やす効果が期待される一方、国内では医薬品に分類されるなど、その取扱いには慎重になるべきです。
特に、うつ病や不眠症の治療をしている方で、他の薬剤を服用している方などは、飲み合わせによっては、セロトニン症候群などの重篤な副作用が発生する可能性も否めませんので、独断での使用は絶対に避けてください。
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