セロトニンを増やす呼吸法とは、脳内の神経伝達物質の一つである『セロトニンを増やす方法』のうち、呼吸によってセロトニンを増やす方法のことです。この呼吸法は、時間と場所を問わず老若男女が実践できますので、疲れやストレスが溜まったときに是非お試しください。
呼吸法でセロトニンが増える理由
なぜセロトニンと呼吸が関係あるかというと、セロトニンは人間の運動機能に関与していて、特に咀嚼(そしゃく、ものを噛むこと)、呼吸、歩行と言った、反復性のあるリズム運動をスムーズに行うために働いていることが理由に挙げられます。
セロトニンが関与しているリズム運動を能動的に行うことで、セロトニン神経が活性化され、セロトニンが必要であるから、もっと分泌するように、という指令が出やすくなり、結果としてセロトニンを増やすことが出来るというわけです。
呼吸法が推奨される理由
セロトニンを増やす上で呼吸法の優れている点は、なんといっても「いつでも」「どこでも」「誰でも」出来るという手軽さです。呼吸法と同じく手軽にセロトニンを増やす方法として挙げられるジョギングやウォーキングなどのリズム運動は、人によって取り入れ難い場合もありますが、呼吸の場合はそうしたことがなく、老若男女誰でも手軽に取り入れることが出来るというのが最大の推奨理由です。
セロトニンを増やす呼吸法のやり方
普段意識せず行っている呼吸は、自律神経系の働きにより、無意識でもいわば自動的に行われている呼吸です。
この自律神経による呼吸は、横隔膜を下げて肺を広げることで空気を肺に取り入れる呼吸法で、どちらかと言うと、『空気を吸うこと』がメインの呼吸で、『胸式呼吸』とも呼ばれています。
▼お腹を意識して、吸うのでなく吐く
セロトニンを増やす呼吸法は、普段の無意識の呼吸とは異なり、お腹の筋肉を意識をして呼吸をする方法です。これは広い意味での『腹式呼吸』と言われる呼吸法で、より具体的には『丹田呼吸法』と言われる呼吸法で呼吸をすることです。
丹田(たんでん)は東洋では古くから『気』の集まる場所とされ、身体の上中下の三箇所に存在するという説が有名です。丹田呼吸法は、そのうちの『下丹田(臍下丹田、せいかたんでん)』を用いた呼吸法で、下丹田は下腹部のおヘソの下あたりにある腹筋付近の事を指し、五臓の中心に位置しています。
- 丹田呼吸法の簡単なやり方
- 1.椅子などに座るか、仰向けに寝てリラックスできる状態になります。
※座る場合は、胸を張って背筋を伸ばすとやりやすいです。 - 2.ゆっくりと自然な胸式呼吸を繰り返して、まずは心を落ち着かせてリラックスします。
- 3.丹田(ヘソ下の腹筋付近)に意識を集中させながら、吸うよりも吐く事を意識して、ゆっくり息を吐ききります。
下腹部がへこむように口から息を吐くのがポイントです。
※慣れないうちは、口をすぼめて息を吐くとやりやすいです。 - 4.引き続き丹田を意識しながら、口を閉じて丹田を膨らませると自然と鼻から空気が吸い込まれます。
- 5.3~4をゆっくりと繰り返します。
- 3~4を出来るだけゆっくり行うのがポイントです。息をゆっくり吐いてゆっくり吸う。
1分間で3回から4回程度を目安とします。
丹田呼吸法は5分以上継続すること、できれば20分程度続けて行うとより効果的です。普段使わない筋肉を使うと意外と疲れるので、最初はごく短い時間から、少しずつ時間を増やすと良いでしょう。
慣れてきたら息を吐く時に丹田に力を入れると、下腹部の腹筋の引き締め効果があり、丹田呼吸でセロトニンを増やすのと同時にダイエット効果も期待できますよ!
丹田呼吸法のより詳しいやり方はyoutubeの動画や書籍を参照してください。
セロトニンを増やす呼吸法の効果
丹田呼吸法を行うことで、セロトニンが増えると様々な効果が期待出来ます。
- ストレスの解消
- マイナスの感情(イライラ、不安、虚しさ、悲しさ、怒りなど、ノルアドレナリンの暴走を抑える)の解消や緩和
- 疲労や息切れしにくくなる
- 頭痛の解消
- 胃炎や便秘の解消
- 記憶力や集中力の向上
- 姿勢が良くなる。猫背が直る
- 不眠の解消(セロトニンが増えるとメラトニンも増える)
- 依存症の改善(ドーパミンの暴走を抑える)
- 体内時計の調整
- 自律神経系のバランスが整う
- ダイエット効果(腹筋を引き締められるため)
こうした効果は、セロトニンが担っている作用や効果の一部です。丹田呼吸法によってセロトニンが増えることで、効果をさらに増幅したり、セロトニン不足時には失われていた効果を取り戻したりすることが期待できるのです。
呼吸法プラスαでさらに効果アップ
丹田呼吸法に慣れてきたら、同じくセロトニンを増やす効果が期待できる、散歩やウォーキング、水泳などの『リズム運動』とセロトニン呼吸法を同時に行うと、より効率的なセロトニン神経の活性化が見込めます。
また、運動はストレスの解消にも効果的ですし、筋肉を鍛える効果もあり、筋肉の中にあるサルコリピンというタンパク質を増やす効果もあります。サルコリピンが増えると、身体の持つ熱生産能力が向上し、冷え性の改善や病気への抵抗力、つまり免疫力の向上に効果があります。
さらに、散歩は昼間がお勧めです。太陽の光を浴びると、太陽光がセロトニン神経を活性化させる他、自律神経系や体内時計を整え、夜の寝付きも良くなりますし、太陽光に含まれる紫外線は、ビタミンDという骨を丈夫にするビタミンを生成します。(紫外線の浴びすぎは注意が必要です。)
詳しくは『日光浴でセロトニンが増える理由』をご覧ください。
呼吸と運動、日光浴を組み合わせて・・・、
1.セロトニン呼吸法をしながら、2.昼間の太陽のした、3.散歩をする
同時に3つもセロトニンを増やす方法を実践したことになり、非常に効果的です。
さらに上級者は、懐かしのチャーミーグリーンのCMよろしく、好きな人と手を繋いでスキップで散歩すると上の3つの効果+グルーミングの効果までついて、セロトニンを増やす効果がより高まります。ただし周囲から奇異の目で見られる可能性もあるため、素人にはおススメしません。
この他にもセロトニンを増やす方法様々な方法がありますので、ご自身にあった方法を選んでお試しください。詳しくは『誰でも実践できるセロトニンを増やす8つの方法』をご覧ください。
photo credit:Atomic Breath Mint by Fernando de Sousa