神経伝達物質とはニューロン間のシナプスや神経で情報の伝達を行う物質です。神経伝達物質はホルモンとの違いが分かりにくい物質です。神経伝達物質もホルモンも「細胞間伝達物質」であり、似たような役割があるものの神経伝達物質はホルモンに比べて局所的(限定的)に作用します。
神経伝達物質の種類
50種類以上の神経伝達物質が確認されており、その作用は多種多様ですが、主なものに以下の3つの分類があります。
- 1.アミノ酸
- アスパラギン酸、グルタミン酸、GABA(γアミノ酪酸)、グリシン、タウリン
- 2.ペプチド類
- バソプレシン、ボンベジン、ガストリン放出ペプチド、ニューロテンシン、ガラニン、CGRP
- 3.モノアミン、カテコールアミン、アセチルコリン
- ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、セロトニン、アセチルコリン、ヒスタミン
なかでも精神面への影響が強いのが、GABA、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどです。
神経伝達物質とホルモンの違い
神経伝達物質とホルモンは、いずれも細胞間で情報を伝達する物質であり、似たような性質を持つ物質です。
神経伝達物質は神経間か神経と筋肉間での情報伝達に限定して作用するのに対し、ホルモンは血流などに乗って、全身のより広い範囲に作用します。
神経伝達物質は電気信号を伝達することで神経間で情報を伝達するため、情報伝達の速度は非常に早いのに対し、ホルモンは内分泌器官から分泌され、血液等を介して体内へ伝播するため、情報伝達の速度や効果が発現する速度は遅くなります。
神経伝達物質とホルモンの特徴の違い
神経伝達物質とホルモンを乗り物に例えると、
・神経伝達物質は、同じ積み荷を積んで、行き先も決まっている線路を走る貨物列車
・ホルモンは色々な積み荷を積んで全国の道(全身の血液)を走る宅急便のトラック
といったところでしょうか。