思春期の子どもたちが発症しやすい起立性調節障害は、同じく思春期に発生しやすい膝やかかと、腰などで起こる『成長痛(骨端症)』によって症状が悪化する可能性があります。育ち盛りの子どもが起立性調節障害を起こす原因のひとつとして、成長痛の痛みをご紹介します。
成長痛とは
成長痛は成長期の子どもに起こる、膝やかかと、腰などに生じる痛みのことですが、実は成長痛の原因は特定されていません。
成長期の子どもの骨や関節は日々成長しており、骨の成長で周りの筋肉や腱が引っ張られて痛みが生じるという説や、または、激しい運動などによる骨や筋肉への疲労の蓄積が、痛みという形で脳に伝わるという説があります。
その他にも、何らかの精神的なストレスや不安が、『体の痛み』という形で顕在化するケースも有ると考えられています。
また、成長痛を発症する年齢層の子どもたちに多い『オスグッド病』も膝の骨に痛みが生じるため、成長痛と混同されやすい病気です。オスグッド病の場合は、部活動などの激しい運動によって痛みが生じることが多く、運動を控えると症状が改善します。
成長痛が起立性調節障害を悪化させる理由
成長痛により生じる痛みは、肉体的なストレスとして、思春期の子どもたちの脳にストレスとして伝わります。この痛みという名のストレスが、起立性調節障害を悪化させるひとつの原因となるのです。
中学校に上がると部活動に所属して肉体を激しく動かす機会が、小学校の時よりも格段に増えます。激しい痛みが成長痛を発生させて、痛みが続くことが大きなストレスとなって、起立性調節障害の症状を悪化させる可能性があるのです。
また、部活によっては、未だに根性論がまかり通り、痛みを感じても中々休ませてもらえないケースもあり、そうした場合は成長痛の痛みがどんどん悪化してしまうことさえあります。
性格が影響することも
元々、起立性調節障害を発症させやすい子どもは、真面目や子や、おとなしく内向的な性格の子どもが多いと言われています。おとなしい子どもが起立性調節障害を起こしやすい原因の一つとして考えられているのが、自分の意見を周りにうまく伝えられないために、それがストレスとなって症状を悪化させてしまうのではないかということです。
そのため、元々は軽い起立性調節障害の症状がある子どもが、内気な子どもであった場合、成長痛の痛みがあってもそれを家族や部活の顧問の先生に伝えることが出来ずに我慢してしまい、軽かった起立性調節障害の症状が悪化して、不登校などに繋がってしまう、というケースが考えられるのです。
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