睡眠障害とは、睡眠に何らかの異常がある状態のことを言います。
人は誰しも睡眠不足による悪影響で一時的に睡眠リズムに変調を来たしたり、海外へ行ったときの時差ボケのようになることがありますが、通常は一過性のもので、時間の経過とともに、体内時計の働きにより自然と改善されます。
何らかの理由や原因により数週間、数ヶ月と継続した状態になると、何らかの睡眠障害に陥っている可能性があります。
睡眠障害とは
我々日本人は、学校でも会社でも、常に時間に追われ、日本人の平均睡眠時間は先進国の中で軒並み最低クラスです。
多くの人が自身の眠りの質や時間に対して何らかの不満を持っている場合が多く、知らず知らずのうちに睡眠障害に陥っている人も多くいることでしょう。
特に問題なのは、自分が睡眠障害であることに気づかないまま、その原因となっている生活習慣を続けたり、その環境に居続けることで、病状が悪化し、普通の社会生活が送れなくなってしまう場合があることです。
睡眠障害と聞くと、一般的なイメージでは「夜眠れない」「寝付きが悪い」「眠りが浅い」というような自覚症状から、不眠症が思いつくかも知れませんが、不眠症以外にも過眠症、概日リズム睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群など、様々な種類の睡眠障害が存在し、自覚症状以外にも心身に様々な変調を来たすことがあるため、単に「自分は夜眠れているから大丈夫」と思い込むのは危険です。
「疲れが取れない」
「昼間なんとなく眠気が抜けない」
「慢性的に眠りに対して何らかの不満がある」
「眠りの質が悪い気がする」
などと感じる場合は、何らかの睡眠障害を患っている場合もありますので、悪化する前に医師に相談しましょう。
睡眠障害の種類
睡眠障害の種類には以下のようなものがあります。
- 不眠症
- 睡眠時呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群など)
- 過眠症
- 概日リズム睡眠障害(睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群など)
- 睡眠時随伴症(夜驚症、夜尿症、レム睡眠行動障害、悪夢、歯ぎしり、寝言、睡眠麻痺など)
- 睡眠時運動障害(むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害など)
- その他(ナルコレプシー、短時間睡眠者(ショートスリーパー)、長時間睡眠者(ロングスリーパー)など)
睡眠障害の治療
- 光療法
5,000ルクス~10,000ルクス程度の照度の光を照射する治療法です。
(ルクス:国際単位系 (SI) における照度の単位)
一般的には人工光が用いられる場合が多いですが、日中、太陽光の下で散歩することで代用することもできます。
昼間の太陽光は晴天時およそ50,000~100,000ルクス、曇天時でも10,000~50,000ルクス、雨天でさえ5,000~20,000ルクスの照度があるとされています。
→詳しくは『光目覚まし時計』をご覧ください。 - 睡眠薬、睡眠導入剤などの投薬・服用
医師に処方してもらう必要のある、睡眠導入剤から薬局でも買える睡眠改善薬など、様々なものがあります。
薬による副作用や、昼間の生活への影響などが出やすいため、慢性的な睡眠障害の場合は、医師の指導のもと、正しい用法と用量で服用する必要があります。 - 漢方薬
睡眠薬のような即効性は無いものの、長期的な症状の改善が期待出来る場合や、副作用の低さから漢方薬が好まれる場合もあります。
ただし、漢方薬と言っても、睡眠障害の症状や原因により、適したものが異なるため、勝手に服用せず医師や薬剤師に相談することが望ましいでしょう。 - 運動療法
睡眠障害がストレスなどの精神的なものの場合、適度な運動をすることでストレスを発散し、症状の改善が期待出来ます。 ランニングやウォーキング、水泳やエアロビなどの有酸素運動や、スクワットや階段の昇り降りなどリズム運動も効果的です。
睡眠前の2~3時間前までに行うことで、ストレスの発散と、体温の変化により、眠気を催す効果があります。 - 食事療法
朝ごはんを抜いた場合の日中の集中力や注意力が下がることはよく知られていますし、夜遅くに食事を取ると、胃が働き交感神経が刺激されて寝付きが悪くなることもあります。
不規則な食生活、過食、ダイエットによる偏食などは睡眠バランスを壊す場合があります。
栄養バランスがよく、規則的な食生活をすることで、睡眠障害の改善をします。
★睡眠障害の治療法は、人それぞれの症状に合わせて適切な方法を選択する必要があります。
睡眠に悩みをお持ちの方は、一度専門医(心療内科や精神科)にご相談してみてはいかがでしょう。
睡眠障害の検査
睡眠ポリグラフ検査(PSG)
睡眠時の脳波、呼吸、眼球運動、心電図、血圧、その他身体の運動状態などを計測・記録し、それぞれの数値を健常値と比べることで睡眠障害の有無や状態、種類などを検査する方法。
睡眠潜時反復検査(MSLT)
日中の眠気の度合いを客観的に評価するために行われる検査で、日中2時間毎に4回程度、昼寝をして眠りにつくまでの時間や脳波を測定します。
アクチグラフ
センサーにより生活状態を自動測定・記録する時計のような形をした装置。
睡眠や覚醒のリズムを調べることができます。
★次のページでは『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』をご紹介します。