人の体温は1日のうちで一定のリズムで変動しており、一般的に早朝が最も体温が低く、夕方から夜間にかけて最も高くなります。
夜間に人が眠くなるのは、この体温の変化が関係しています。

体温が下がると眠たくなる

人の睡眠は、朝起きて夜眠ると言う一般的な生活リズムに合致しており、夜になると眠くなります。
夜になると眠くなるのは、主に体内時計による作用と、自律神経による体温変動の作用のためで、夜になると人の深部体温は下がりだし、それが合図となって眠気を催します。
また、深部体温の低下に伴い、体内の熱を下げるために内部から体表に熱が送られるため、体の表面体温は上昇します。
そのため、眠たくなると体温が上がっていると感じる人も多いのです。
実際は内部の体温は下がり、表面は上がっている状態

なぜ夜間になると体温が下がるかというと、一つはリラックスして安静にしていると、副交感神経系が働き出して血管が拡張して心拍はゆっくりになって体温が下がるためで、安静な状態を保てるということは、身の安全が確保できた状態であると体が認識するためです。
(※ほとんどの生物にとって、外敵に襲われるような緊張状態にあると安心して睡眠を取ることは出来ないため。)

もう一つは、眠っている間に脳や心臓などの体内の臓器を休めるためには体温を下げたほうが効率が良いためだと考えられます。

体温の変化幅が大きいと睡眠の質が良くなる

1日の体温の変動で生じる、最高体温と最低体温の差を大きくすると、よく眠れることが分かっています。
意図的に体温の変動幅を大きくする簡単な方法は、運動、入浴、食事です。

特に、運動は体温の上昇と同時に、適度な疲労感ももたらすため、睡眠の質を上げるのに適しています。
ただし、就寝直前の運動や入浴は下がり始めた体温を上げてしまい、寝付きを悪くする可能性があるので注意が必要です。

睡眠に効果的な運動

就寝の3~5時間前に軽く汗ばむ程度の運動をすると良いです。
日頃から運動する習慣を付ければ、ストレスの解消(ストレスは睡眠を阻害する要因)にもなります。

睡眠に効果的な入浴

睡眠の2時間前までに38~40度程度のぬるめのお湯に20分~30分程度浸かると良いです。

睡眠に効果的な食事

食事で摂取した食物を消化吸収することでも体温を上げることが出来ます。
食べ物は胃や腸などの消化器官で消化・吸収される過程で、熱エネルギーを産生して体温を上昇させます。
就寝直前に食事をすると、胃腸が働いているため眠りが浅くなったり、消化不良の原因になったりするため、食事は就寝3時間前くらいまでに済ませましょう。

体温のせいで眠れないことも

最高体温と最低体温の温度差が少ないと寝付きが悪くなってしまいます。
温度差が少なくなる要因は、日中の活動レベルが少ない(運動しない)場合や、筋肉量が少ない(筋肉は熱を産生している)、加齢による場合などがあります。

また、一部の疾病や不規則な生活リズムを送っている場合などで、自律神経のバランスが崩れることで体温の変動リズムも崩れてしまうケースも見受けられます。
例えばうつ病患者の場合、心身に持続的にストレスがかかっていて、このストレスが体温を下げるのを阻害してしまうことから、深部体温が夜になっても高い場合が多く、睡眠に何らかの障害が起こりやすくなります。

その他にも、女性は月経による女性ホルモンの分泌せいで夜になっても体温が下がりにくくなるなど、ホルモン分泌に影響されて体温が下がりにくくなり、寝付きが悪くなる場合もあります。

睡眠中の室温

室温は暑すぎず寒すぎずが理想です。
季節ごとの最適な室温は『眠れない原因-気温・湿度』を参照してください。

また、睡眠中の室温変化にも注意が必要です。
エアコンを使用する場合、タイマーなどを使うケースがあると思いますが、タイマーが切れた後に室温が上がったり下がったりすると、その刺激で目が覚めてしまう可能性があるため、タイマーをかけずに朝まで使い続けたほうが良いです。
尚、エアコンの風は直接体に当たると体温を下げてしまうので、直接当たらないようにしましょう。