
厚生労働省が発表した「平成 27 年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、一日の平均睡眠時間が6時間に満たない人の割合が、全体で40%近くに昇ることが明らかになりました。睡眠時間が6時間未満の人の割合が34.4%だった10年前の平成17年の調査と比較すると、ここ10年で日本人全体の睡眠時間がかなり減少傾向にあることがわかります。
目次
睡眠時間の減少は激務や過労が原因
睡眠時間の減少は、私達日本人の心や身体を少しずつ、しかし確実に蝕んでいます。睡眠時間が減少する原因として最も多いのが、『仕事の過労や多忙によって睡眠する時間が無い』ことです。
少し前には大手広告代理店の新入社員が過労より自殺したことが大きく報じられ、後に厚生労働省による強制捜査が行われるに至り、大手企業で根強く残る、言わば強制的なオーバーワークが人々の睡眠時間を削り、それによって人々の精神も削られていることを物語っています。
睡眠時間が6時間未満になると何が起こるか
長期的な睡眠不足は、確実に私達の心身を傷つけます。毎日の睡眠時間が6時間未満の状態が長い間続くと、多くの人に以下のような症状が現れます。
- ストレスが解消出来ない
- 老化の進行
- 太りやすくなる
- 疲れが取れない
- 集中力と判断力の低下
- 感情のコントロールが難しくなる
- コニュニケーション能力の低下
- パニックを起こしやすくなる
- 肌のシワや怪我が治りにくい
- 成績や学習能力の低下
- ミスや事故を起こしやすくなる
- 腸内環境が悪化する
詳しくは『睡眠不足の悪影響』をご覧ください。
日々の睡眠時間が不足するほど過労の毎日を送れば、昼間に眠気を感じる、というレベルではすみません。誰しもストレスや疲労の蓄積、無気力・無感情、集中力の低下、など、抑うつ症状のひとつやふたつが現れます。
それでも尚、働き続けなくてはならない日本の社会とは一体どこへ向かっていくのでしょうか。
睡眠時間が6時間未満でも平気な人
慢性的な睡眠時間の減少が私達の健康に大きな影響を与える一方で、世の中にはショートスリーパーと言って、睡眠時間が短くても、健康への影響がほとんど生じない人が存在します。
こうしたショートスリーパーの人は、遺伝的に睡眠が短くても効率的な睡眠が出来る人であり、入眠後に深い眠りである徐波睡眠が発生する割合が一般の人よりも多く、その分効率的に睡眠が取れていると考えられています。
こうしたショートスリーパーと呼ばれる人は、全人口の5%から10%程度と、決して多くありませんが、少ない睡眠時間で満足できるなら、ショートスリーパーになりたい、と思う仕事熱心な社畜さんも多いでしょう。
ロングスリーパーにとっては地獄
睡眠時間が6時間未満であっても、ショートスリーパーの人であれば短期的には健康上大した問題はあまり起こらないかもしれません。
ところが、ショートスリーパーとは逆に、ロングスリーパーという睡眠時間が長くないと生活に影響がでてしまう人々にとっては、現代社会はまさに地獄です。
一般的な人の場合、睡眠時間が7時間程度あれば睡眠満足度は満たされるといい、ショートスリーパーなら6時間未満でも問題なし、中には一日3時間程度しか寝ないという猛者もいます。
しかし、ロングスリーパーの場合、毎日9時間程度は睡眠時間を確保しないと、朝の起床が非常に困難であったり、日中に激しい眠気に襲われると言った症状が現れてしまいます。仮にロングスリーパーの人が、睡眠時間6時間未満の状態で毎日生活するとしたら、毎日必要な睡眠時間が3時間も不足していることになります。
日本人の40%が睡眠時間6時間未満の時代です。
40%の中には当然、本来はロングスリーパーである人も大勢いるはずです。ロングスリーパーにとっての、睡眠時間6時間未満と言うのは、普通の人よりもかなり無理した状態であると言え、早期に体に変調をきたす可能性も高くなりますから、他の人も同じように残業しているから、という考えは捨てて、睡眠時間が足りないような就業環境からはできるだけ早く離脱するべきでしょう。
安易に睡眠時間を削ってはならない
日々忙しい生活を送る人の中には、睡眠時間をもっと削りたい、睡眠時間が短くて済めばもっと働ける、などと考える人も少なくありません。世の中には3時間短眠法など、短時間睡眠を推奨する情報も数多く出回っています。
しかし、睡眠時間を安易に削ってはいけません。
こうした短時間睡眠の多くは、人によって向き不向きがあり、不向きな人が無理やり短時間睡眠を実践しても、健康を害するだけです。また、短時間睡眠を成功したという人の多くは、実は単に元々ショートスリーパーであった可能性があります。
ショートスリーパーかどうかは、先天的な遺伝子によって決まりますから、あとから訓練や根性でショートスリーパーになろうとするのは無駄な努力と言えるでしょう。
睡眠時間が短いと寿命に影響が出る
1980年台にアメリカで行われた、大規模な健康に関する追跡調査では、健康に最も寄与する睡眠時間が平均的な一日6.5時間~7.5時間だとされ、それ以上でもそれ以下でも疾患、事故その他何らかの理由から寿命が短くなる傾向があったといいます。
睡眠時間が6時間未満の場合、以下のような疾患のリスクが増加すると考えられています。
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 高血圧症
- 糖尿病
- 動脈硬化
- ガン
- 認知症
など。
短い睡眠時間では、血管の老化と、それによって起こる心筋、脳梗塞のリスクが増加することが明らかになっています。
忙しい生活を送る私達日本人ですが、仕事に合わせて睡眠時間を削るのではなく、自身の健康のためにも理想的な睡眠時間について、より深く、より真剣に考えるべきときを迎えているのではないでしょうか。
忙しい毎日の中で睡眠時間がどうしても足りない人は、睡眠効率を最大化するために『睡眠サプリ』を試してみると良いかもしれません。
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