「明日一体何時に起きれば良いのか?」
この単純な問に人々は長年苦しめられています。多くの人が睡眠が少ない、もっとたくさん眠りたい、と考えています。一方で、睡眠時間が少なくなれば、その分活動出来る時間が増えて人生が有意義に過ごせる、と考える人もいます。一体理想の起床時間は何時なのかを考察してみます。
目次
社会的な都合による起床時間
[会社の始業時間]-[1時間30分]
内訳:着替え(5分)、食事(10分)、トイレ(10分)、通勤(1時間)、仕事の準備(5分)
=会社の始業時間が9時の場合、7時30分に起床。
これは主に起床してからの会社で始業するまでの間の最低限の時間を考慮したものですので、業種や業態、通勤時間や男女によっても時間は変わるでしょうから、その点は個々人で調節してみましょう。
特に女性は着替えや化粧などのため男性よりも眺めの準備時間が必要な傾向があります。
ただしこんな起床時間にはなんの意味もありません。これは社会人の一般論としての起床時間であり、社会の都合に合わせた結果がこの7時30分という起床時間だというだけです。そもそも誰でも、会社に間に合うように起きたら大体このくらいの時間になるはずです。
つまり、これは社会人としての都合から生まれた起床時間ではありますが、その人にとっての最適な起床時間だということにはなりません。本当は、その人の健康や睡眠時間の長さを考慮すると、もっと理想的な起床時間があるのかもしれません。
そこで次に、最低限の睡眠時間の長さなどからも、何時に起きれば良いかを探ってみたいと思います。
睡眠周期から起床時間を考える
人の睡眠周期はおよそ90分周期で1セット。この睡眠周期の中で、睡眠状態がレム睡眠(浅い睡眠)の時に起床すると目覚めが良く、スッキリ起きやすいと言われます。
人によって必要な睡眠時間は異なり、全人口のおよそ10%がショートスリーパー(短眠者)、別の10%がロングスリーパー(長眠者)であると言われ、必要な睡眠時間が極端に短かったり長かったりします。
残り80%の一般的な人の場合、入眠から7時間30分(90分 x 5セット) が睡眠周期でレム睡眠になりやすい時間の一つの目安になり、出来ればこの[7時間30分]は睡眠時間を確保したほうが良さそうです。尚、この7時間30分という数字は、90分の睡眠周期と後で紹介する統計データの両面を考慮したものです。
統計データから健康面を考えてみる
アメリカで行われた過去の統計では、睡眠時間が6.5時間~7.5時間の人が最も長期的な死亡率が低かったそうです。睡眠時間がそれ以上でもそれ以下でも、長期的には何らかの疾患や事故などの発生リスクが増加して、寿命が短くなるそうです。 つまり6.5時間~7.5時間の睡眠時間を確保することが健康に取っては良い睡眠時間だと言えそうです。
最初にご紹介した(1)社会的な都合による起床時間と、(2)90分の睡眠周期、(3)統計上の健康リスクの3つの条件を全てクリアするためには、朝9時に就業する人、つまり7時30分に起床する必要がある、夜12時には就寝している必要があるという計算になります。就寝時間がそれよりも遅い場合、条件を満たせず睡眠時間が不足してしまう可能性があります。
起床時間が7時30分ではない人(就業時間が9時ではない人など)は、自分の起床しなければならない時間が分かる場合、早見表から理想の起床時間を逆算してみてください。
→起床時間ベースの早見表
結論
統計上の健康に良いとされる睡眠時間は6.5時間~7.5時間。これと90分の睡眠周期を考慮して計算すると、7時間30分±30分の睡眠時間(長さ)が理想的である可能性が高いと言えます。その時間を確保しつつ、スッキリ起きられる起床時間があなたの理想の起床時間ということになります。
*プラスマイナス30分は個人差を考慮してのことです。
理想の起床時間の見つけ方
- 睡眠時間が7時間30分確保できる起床時間に目覚まし時計をセットし、起床を試みます。
- セットした時間でスッキリ起きれた場合は、その起床時間で固定します。睡眠時間を減らしたい場合は、10分単位で睡眠時間を減らします。(遅く眠るor早く起きる)
- セットした時間で起床に難がある(眠気が残る、寝足りないと感じる)場合は、10分間だけ睡眠時間を増やします。(早く眠るor遅く起きる)
- 最大30分間まで睡眠時間を増やしてみて、その中で最も起床しやすかった時間で起床時間を固定します。
- 少なくとも1週間、同じ時間で就寝と起床を繰り返します。
この方法で毎日スッキリ起きれるのであれば、理想の起床時間を見つけられたのかもしれません。1週間同じ時間で睡眠と起床を繰り返すのは、体内時計を調節するためです。休日も出来るだけ同じ時間で生活しましょう。
理想の起床時間が分かったら次にすること
次にすることは起床時間を極力「固定」することです。
一日の始まりである朝。人は起床したときに体内時計がリセットされて、交感神経系が刺激され脳と身体が覚醒されます。朝起きる時間を固定すると、体内時計がその時間に合わせて自動的に調整されやすくなり、規則正しい生活習慣を自然と構築するのに役立ちます。
また、体内時計がリセットされたとき、同時に夜眠るための睡眠スイッチがセットされています。睡眠スイッチとは、睡眠ホルモンである『メラトニン』のことです。メラトニンは、朝起床した時間から13~15時間後に自動的に分泌されるように体内時計によってセットされる性質があります。
実は、夜出来るだけ同じ時間に眠りたいなら、朝起きる時間も出来るだけ固定する必要があるのです。
睡眠時間が足りないと感じたら
7時間、8時間と十分な睡眠時間を取っているにも関わらず、日中にボーっとしたり眠気を感じる場合、睡眠が足りていないと感じるのであれば、それは睡眠時間が短いせいではなく、睡眠の質が悪い可能性があります。
効率よく睡眠を取れば短い時間でも効果的に脳や体を休ませることが出来、疲れも取れてリフレッシュ出来ます。
→『快眠のための10のコツ』
また、昼間の眠気は短時間の昼寝を取ると効率よく解消出来ます。
→『昼寝』
★次のページでは『2.最適な起床時間の早見表』をご紹介します。
photo credit: Seven in the Morning Part II (9:30 in the evening)? (license)