およそほとんどの人が、朝起きる時には音が鳴る目覚まし時計やスマホのアラームで目覚めます。
時計を何個もセットしたり、爆音のアラームを鳴らしたりと、辛い朝を無理やり起きている人も大勢いることでしょう。
ところが、音で起きるタイプの目覚まし時計には、思わぬ危険が潜んでいるのです。
音で起きることの危険性とは
現代人の誰もが当たり前のように習慣としている、目覚まし時計の音で起きる生活には、以下の様な危険が潜んでいます。
血圧の急上昇
誰でも後ろからいきなり『ワッ』と大きな声を出されたらビックリするのと同じように、目覚まし時計の音で起きるということは、ビックリしたショックで起きるということです。このとき、『ビックリ=血圧の上昇』が起こります。
寝起きは血がドロドロ
人の体は寝ている間に汗などで水分が失われており、寝起きの体は水分が不足しているため、血液がドロドロ。寝起きに急に血圧が上がると血管が詰まりやすくなります。
突然死のリスクも
事実として、心筋梗塞や脳卒中などによる突然死は、朝方に起こることが多いことが明らかになっています。これは早朝に起こる急激な血圧の上昇が原因となっていると考えられます。
早朝は元々血圧が上がりやすい
一日のうち、早朝は血圧が上がりやすい時間帯です。これは、コルチゾールというホルモンが分泌されることで、交感神経系が刺激されるためです。
目覚まし時計で追い打ち
目覚まし時計の音で目覚めるということは、血圧の上がりやすい朝に、目覚まし時計の音によってさらに血圧が上昇するという、血管の負担にさらに追い打ちをかけているということになります。
高齢になるほど危険
実は、目覚まし時計による血圧上昇の危険性は、高齢になるほど増します。それは一般的に高齢になればなるほど、血管も衰えていくためで、血管の弾性が失われ、動脈硬化などを起こしやすいためです。脳卒中や心筋梗塞は高齢になればなるほど発生率の増える病気の一つです。毎朝、目覚まし時計に起こされることで急激な血圧上昇を繰り返すことは、高齢者にとってはかなり危険な行為と言えるでしょう。
自律神経系が乱れる
目覚まし時計によるもう一つの危険は、自律神経系の乱れです。人の睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠という2つの種類の眠りがあり、これが交互に入れ替わるのが『人の睡眠サイクル』です。一般的にノンレム睡眠のときには脳が深く休んでいるため、目が覚めにくい状態です。レム睡眠時は脳が覚醒に近い状態にあり、目覚めやすい状態であるといえます。
問題は、脳が休んでいるノンレム睡眠のときに、目覚まし時計が鳴ることで、本来ノンレム睡眠時にはほとんど分泌されることがないストレスホルモンが無理やり分泌されて、言わば強制的に交感神経系を興奮させることで起こる、『自律神経系の乱れ』です。
こうした生活を長期間続けると、徐々に自律神経系は疲弊していき、自律神経失調症など体の不調に繋がりやすくなってしまうのです。従って、どちらかと言えばレム睡眠のときに目覚めるほうが、体への負担は少ないと言えますが、睡眠サイクルをコントロールすることは出来ませんし、自分の睡眠サイクルを把握する、ということも容易なことではありません。
睡眠について詳しくは『最適で理想的な睡眠時間』をご覧ください。
体内時計の乱れにも繋がる
自律神経系の乱れは、体内時計の乱れにも繋がります。正常な自律神経系の働きは、日中の活動している時間帯には交感神経系が優位に働き心身の覚醒を維持し、夜間の休息や睡眠中には副交感神経系が優位に働いて、脳と体を休めています。
ところが、自律神経系が乱れると、夜の眠らなくてはならない時間になっても、交感神経系が昂ぶったままになり、副交感神経系に切り替わらない、というようなことが起こります。また、逆に日中の本来活発に体を動かすべき時間帯になっても、交感神経系が活性化せずに、体が重たくて、頭はぼーっとしてしまうということも起こります。
交感神経系と副交感神経系の入れ替わりは、体内時計をリセットするスイッチでもありますが、自律神経系が乱れることで、そのスイッチが正常に押されなくなり、体内時計までもが狂ってしまいます。
体内時計が狂うと、朝が辛い、日中だるい、夜になっても眠れない、などの症状が現れ、正常な生活リズムを維持することが困難になってしまいます。
副腎疲労
さらにもう一つ、目覚まし時計を使い続けることで起こる可能性がある危険があります。
現代人は、様々なストレスに晒されて生きています。そのストレスに対抗する働きをするのが、コルチゾールやノルアドレナリンといった、いわゆるストレスホルモンです。そして、目覚まし時計の発する大きな音は、脳にとってはストレスそのものです。
脳が目覚まし時計の音でストレスを感じると、副腎からストレスホルモンが急激に分泌され、強制的に意識を覚醒させ血圧を上昇、血管を収縮します。ただでさえ世の中にはストレスが多いのに、目覚まし時計によって朝からストレスホルモンが急激に分泌されると、副腎の負担が増していき、一日中働きっぱなしの状態になってしまいます。
ストレスホルモンが一日中分泌されるような状態が長期間続くことでやがて『副腎疲労』という危険な状態になってしまい、今度はストレスホルモンが枯渇して分泌しにくくなってしまうことがあります。
副腎疲労でストレスホルモンが分泌しにくくなると、疲れが取れない/すぐ疲れやすい/意欲がわかない/うつっぽい/イライラする/もの忘れが激しくなる/立ちくらみがする、などの症状が現れやすくなります。
ストレス無く起きるには?
目覚まし時計の音によって、強烈なストレスを感じながら強制的に起こされる生活には、様々な危険が潜んでいるということをご紹介させて頂きました。では、そうした『音で起きる生活』から開放されるにはどうしたら良いでしょうか。実は、身近にある、ごく簡単な方法で実現出来ます。
それは、『朝日を浴びること』です。
人は昔から、日の出とともに起床し、日没になると休息する生活を送ってきました。つまり、朝日こそが人間が目覚めるための、『自然の目覚まし時計』だったのです。太陽光には強力な覚醒効果があり、眼や肌が光を感じることで、交感神経系が刺激されて、自然と脳や体の覚醒が維持されるのです。
ところが、現代人は建物の中で暮らしていますから、朝日を浴びる生活を送ることはめっきり少なくなりました。それどころか、遮光カーテンなどを使って、真っ暗な状態で眠るのを好む人も多くいます。こうした生活を送る私達現代人に、何が起こっているかはこのページでご紹介したとおりです。
目覚まし時計の音で目覚めるのをやめて、朝日で起きるような生活に変えれば、自然で心地よい目覚めに変わり、ストレス満載の現代社会における、ストレスの種が一つ減るわけです。
光で起きるのがベスト!だが…
朝日を浴びる。
たったそれだけのことなのですが、現代社会ではそれさえもままなりません。
家が北向きで朝日が当たらない。部屋に窓が無い。夜勤で太陽が沈んでから起きる。起きる時間がバラバラ。防犯上、カーテンを開けて眠ることが出来ない。など、様々な理由で朝日を浴びることが出来ない人がいます。
また、自然な太陽光のもう一つの難点が、明るくなる時間をコントロール出来ないことです。日の出の時間は、季節や場所によっても異なりますし、明るくなる時間が、自分が起きたい時間より早かったり遅かったりしては意味がありません。
何らかの理由で、自然な朝日を浴びることが出来ない人には、光目覚まし時計がおすすめです。
光目覚まし時計というのは、通常のアラームや音楽などの『音』が鳴る目覚まし時計ではなく、時間になると『光』を発する目覚まし時計のことです。
詳しくは『光目覚まし時計』をご覧ください。
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