不眠症の原因は様々なものが考えられます。
また、不眠なのかどうかという判断基準も個人差があるため、一概に『これが正解』と言う解消方法が無いのも事実です。
このページでは、眠りについてお困りの皆様が快適な睡眠を手に入れるために、不眠症の種類別に対策方法をご紹介します。
少しでも不眠解消に役立てればと思います。
不眠症の種類別対策
不眠症の種類には、大きく分けて以下の4つがあり、それぞれ原因や対策方法などが異なりますので、不眠症を解消するには、まずは自分がどのタイプの不眠症なのかを知る必要があります。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早朝覚醒
- 熟睡障害
このページでは4種類のそれぞれ特徴や対策方法などを紹介します。
入眠障害の対策
いわゆる「寝付きが悪い」という状態です。
慢性的に眠りにつくまでに30分以上かかる人は入眠障害とされます。
- 『体が興奮状態にある=交感神経が働いている』
- 肉体労働や部活、スポーツなどの運動や体を動かした直後は、体が興奮状態にあり、交感神経(体を覚醒させる働きがある)が働いてしまう為、入眠が阻害されます。
この場合、心身をリラックスさせ、交感神経を休めて、副交感神経が働くようにしてあげることが必要です。
具体的には、家に帰ってから、疲れているからと言ってすぐベッドに入るのではなく、30分程度、薄暗い部屋でリラックスした状態を作ることで、交感神経を沈めて、副交感神経が働くの待ってから眠りに着く準備をしましょう。 - カフェインやお酒にも注意が必要です。
- ご存知の通り、カフェインには覚醒作用があります。カフェインは摂取後、4時間程度は効果を発揮するので、眠りにつく時間から逆算して4,5時間程度前からは摂取を控えましょう。
- また、お酒にも覚醒作用があります。
少量のお酒で寝付きが良くなることがありますが、飲酒量が増えると、睡眠後に覚醒作用が発揮され、眠りが浅くなるなど、睡眠の質を変化させてしまいますので、お酒の摂取も少量に控えましょう。 - 睡眠過多の場合
- 昼寝をしすぎるなどして、睡眠時間が多い場合、本来眠る時間である夜に、眠りにつきにくくなります。
人間は「寝貯め」が出来ず、休みの日などに普段よりも多く寝過ぎたり、昼寝が長すぎたりすると、体が睡眠を必要としない状態だと判断して、入眠までの時間が長くなってしまうことがあります。
尚、昼間の昼寝は15分程度、短く取るのが効果的だと言われています。
- ★入眠障害の対策:まとめ
- ・体をリラックスさせる
ぬるま湯に入る、アロマ、ヒーリングミュージック、部屋を暗くする、などが有効です。 - ・明るい光は避ける
寝る前の明るい光(テレビ、スマホ、パソコンなど)は脳が興奮してしまうので、出来るだけ避ける。 - ・寝る前のカフェイン・酒は控える
- ・寝貯めしない。寝すぎない
昼寝しすぎたりすると、夜寝付きにくくなります。昼間に眠気を感じたら、20分程度の昼寝が効果的です。
中途覚醒の対策
眠りについてから、本来起床する時間までに、途中で何度も目が覚めてしまうのが中途覚醒です。
中途覚醒の原因の一つとして、寝酒があります。
一般的にはお酒を飲むとよく眠れる、と思われ勝ちですが、これは半分正解で半分間違いです。
アルコールには、催眠作用と覚醒作用の両方の性質があります。
寝る前にお酒を飲むと、その直後には確かに催眠作用により、寝付きが良くなることがあります。
しかし、アルコールは体内で分解される過程で、覚醒作用が働きだし、眠った後に目が覚めやすくなってしまいます。
また、お酒には利尿作用もあるため、眠っている間にトイレに行きたくなり、これも中途覚醒の原因となりますので、晩酌などは飲み過ぎに注意して、少量に留めるようにしましょう。
また、環境による原因から中途覚醒しやすくなることもあります。
例えば、家の横を大きな幹線道路が通っていたり、工事をしているなど、騒音がひどい場合や、引っ越しをしたばかりで新しい部屋に馴染めていない場合、眠りにつく時間が朝方などで、室内が明るすぎて眠れない場合、夏場などで部屋の温度や湿度が高すぎるなどの季節的な原因などが考えられます。
こうした場合、原因となっている問題を改善することで、中途覚醒を改善することが期待出来ます。
メラトニンの分泌量も中途覚醒に関係します。
睡眠ホルモンであるメラトニンは、幼児期や成長期に多く分泌され、加齢とともに分泌量が減っていきます。メラトニンの分泌量の低下は、睡眠を維持することが難しくなることを意味するので、高齢になるほど中途覚醒しやすくなると言えます。
ただし、加齢による場合は、ある程度自然なことなので、あまり問題にならない場合が多いです。
メラトニンの分泌が減る原因として、もう一つ考えられるのが、「セロトニンの不足」です。
その他食生活や生活リズムの乱れなどにより、メラトニンの分泌に必要なセロトニンが不足すると、中途覚醒しやすくなります。
この他にも、睡眠時無呼吸症候群など、睡眠障害によって眠りが浅くなっている場合や、うつ病などの精神疾患も中途覚醒の原因となることがありますので、異常を感じた場合はお早めに専門医(心療内科や精神科)へご相談ください。
- ★中途覚醒の対策:まとめ
- ・寝酒しない
寝酒は眠りが浅くなる原因の一つ。また、利尿作用があるので、飲み過ぎると寝ている間にトイレに行きたくなって起きる原因にもなる。 - ・睡眠環境を整える
近隣の騒音、光など睡眠を妨害する要素がある場合はまずその対策をする。 - ・室温、湿度を一定値に保つ
- ・加齢により中途覚醒しやすくなる場合もある
- ・深刻な睡眠障害の場合も
睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、深刻な疾患により中途覚醒している場合もあるので、上記のような原因が無いのに中途覚醒する場合や、は医師に相談してみたほうが良いかもしれません。
早朝覚醒の対策
早朝覚醒とは、朝日があがる前のような朝早くに目が覚めてしまい、その後再び眠りに就くことが出来ないような症状を言います。
特にお年寄りに多いものですが、この場合はある程度自然なことで、問題にならない場合がほとんどです。
人は歳を取ると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量が減り、その結果長時間眠ることが出来なくなり、早朝に目が覚めてしまったりします。
問題となるのは、早朝にどうしても目が覚めてしまい、日中に眠くなって、仕事や学校などの活動に支障を来たす場合などです。これは眠りが浅いなど、睡眠の質に問題がある場合や、お酒などによる覚醒作用が働いている場合の他、うつ病などの精神疾病、や睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害を患っている場合などが考えられます。
睡眠の質に問題がある場合は、『快眠のための10のコツ』を参考に、睡眠の質の改善に取り組んで頂く事をお勧めします。 お酒などが理由で目が覚めてしまう場合は、寝酒をやめる、飲酒量を減らすなどの措置が必要です。
原因がうつ病や睡眠時無呼吸症候群などの疾病の場合は、速やかに専門医へご相談下さい。 尚、これらの疾病は本人が自覚・認識しにくいという特徴もあるため、ご家族の方などの協力も必要となります。
また、睡眠時間が短く、朝早くに目が覚めてしまう場合でも、慢性的な疲労感が無く、生活に支障がないは、ショートスリーパーである場合もあります。
- ★早朝覚醒の対策:まとめ
- ・お年寄りに多い
加齢によってメラトニンが減少するため。ある程度は自然なこと。 - ・日中に耐え難い眠気がある場合は睡眠の質が悪い可能性あり
睡眠の質を改善しましょう。また、睡眠障害である可能性もあるため、長期化している場合は医師へ相談して下さい。 - ・ショートスリーパーである場合も
熟眠障害の対策
熟眠障害は十分に睡眠時間を取っているはずなのに、睡眠の充足感が得られていない(睡眠の質が悪い)症状です。
睡眠は時間が多ければ良いというわけではなく、睡眠の質も重要です。
睡眠の質が悪い(浅い眠りが多いなど)と、十分な睡眠時間を取っていても、疲れが取れない、集中力が低下する、体がダルい、などの寝不足のような症状が出やすくなります。
熟眠障害を改善するには、睡眠の質について考える必要があります。
睡眠には浅い眠りと深い眠りがあり、通常、これらが交互に発生するのですが、何らかの原因で深い眠りが少なくなると、睡眠の質が低下し、熟眠障害のような症状が出やすくなります。
睡眠の質の改善には、『快眠のための10のコツ』を参考にして頂き、睡眠の質が向上するようにしましょう。
また、長時間眠りすぎている人は、ロングスリーパーである可能性もあります。
睡眠には個性があるので、自分にとって最適な睡眠時間は人によって異なりますので、一般的に十分な睡眠時間が、自分にとっては十分ではない、ということも考えられます。
- ★熟眠障害の対策:まとめ
- ・睡眠の質を改善する
- ・沢山寝れば良いというわけではない
- ・ノンレム睡眠時に無理やり起きている可能性もある
- ・ロングスリーパーかも知れない
・最適で理想的な睡眠時間と起床時間
医師への相談
慢性的な不眠に陥ってしまった場合、医師への相談をして、適切な治療を受けることが必要です。
不眠は「眠れない」と言うことだけでなく、心身の様々な病気の原因ともなりますので、改善が見られない場合は、一人で悩んだり、放置したりせず、出来るだけ早く医師に相談するのがよいでしょう。
医師に相談すると、主に睡眠導入剤、睡眠薬、鎮静剤などによる治療が行われます。
また、同時に生活習慣の改善指導や、不眠の原因に関するカウンセリングなどをしてくれる医師も多く、慢性的な不眠を感じる場合は、お早めに専門医へ相談される事をお勧め致します。
尚、睡眠に効くとされるネット通販などで簡単に手に入るサプリメントや、医師に処方される睡眠薬であっても、適切な用法・用量で服用しないとかえって体調を崩したり、症状を悪化させることがありますので、安易な服用は避け、事前に必ず専門医へ相談しましょう。
photo credit: Burnt out (license)