ナイアシン(Niacin)は水溶性ビタミンの一つで、ビタミンB3やニコチン酸とも言われます。ナイアシンは糖質、脂質、タンパク質などの代謝に不可欠で、循環・消化・神経系の働きを増進する一方、不足すると、皮膚炎、口内炎、下痢などの症状が表れることがあります。
人体内では、トリプトファン60mgからナイアシン1mgが肝臓において生合成され、さらに腸内細菌によって生合成されるものとされています。
目次
ナイアシンの主な効果
- 皮膚や神経を健康に保つ
- 血管の拡張。血行を良くして、頭痛や冷え性を改善する
- コレステロールや中性脂肪を下げる、肥満の改善
- 抗酸化作用
- アセトアルデヒド(二日酔いの原因)を分解する
ナイアシンが欠乏時の症状
日本人の場合、通常はナイアシンが不足することは余りありません。ただし、ダイエットによる栄養の偏りや偏食、不規則な食生活などにより、ナイアシンが不足することもあり、不足時には様々な症状が表れることがあります。
ナイアシンを多く含む食べ物
ナイアシンはトリプトファンから合成されるので、トリプトファンを多く含む食品を食すことが有効です。
また栄養補助食品やサプリメントなどとしても販売されていて、手軽に入手可能です。
ナイアシンの1日摂取量の目安
成人男性:14mg~17mg
成人女性:12mg~13mg
許容摂取量上限:30mg程度(健康な人の場合)
ナイアシン摂取の副作用
サプリメントや薬剤などでナイアシンを多量に摂取すると、以下のような症状が表れることがあります。
- 胃痛、胃のムカムカ
- 吐き気、嘔吐
- 体の発赤、紅潮
- アトピーの悪化
- 肝機能障害(疾病の治療時など)1日2000mg以上の摂取で肝機能障害に陥る可能性があります。
ナイアシンフラッシュ
1日に100mg以上のナイアシンを摂取することで皮膚が紅潮し、ヒリヒリした症状や痒みがでることがあり、この現象が『ナイアシンフラッシュ』などと呼ばれる事があります。
こうしたナイアシンフラッシュと呼ばれる反応は、アレルギー反応物質としても知られる、体内に蓄えられたヒスタミンが放出されることによって起こると考えられており、血管を拡張させ、脂質異常を改善するなど、一般的に有益な健康効果であるとされています。
通常、ナイアシンフラッシュは一時的なもので数十分で収まると言われています。
ナイアシン欠乏症(ペラグラ)
日本では馴染みが薄い病気ですが、トウモロコシを主食にする国や地域で発生することのある症状で、トリプトファンとナイアシン不足が原因とされる病気です。
ナイアシン欠乏症では、日光にあたることで体に発疹ができ、その他に吐き気、便秘、下痢などの症状や、体内外に炎症が生じます。また、疲労感、不眠、脳の機能障害、幻覚、健忘などが生じ、最悪の場合は死に至ることもあります。 治療にはビタミンB群の経口摂取が用いられます。
治療薬としてのナイアシン
ナイアシンは、うつ病、統合失調症などの精神疾患や、不眠症、二日酔いの改善、肌荒れや口内炎などの治療に用いられることがあります。また、ナイアシン不足により睡眠の質が低下している場合は、ナイアシンを補給することで睡眠の質を改善する効果が期待できます。
詳しくは『睡眠とナイアシンの関係』をご覧ください。